百物語【第二十二話〜二十四話】

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百物語【第二十二話〜二十四話】

珍味さんのお話、体験していないのに昔体験したような気分になり内臓あたりをゾワゾワとさせていただきました。

…なんだか蝋燭が増えているのに肌寒くなってまいりましたね。

私からは、お店に来ていただいたお客様三名にそれぞれお話していただこうと思います。

では、田中さん 大村さん 猪狩さん よろしくお願いします。

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第二十二話 【扇風機】

夏真っ只中とも言える八月某日、扇風機が壊れたのよ。

買い換えるお金もないし、来年まで暑さを我慢して過ごすことにしたの。

昼間は冷房の効いたスーパーやデパートで過ごしたけど、夜はそうはいかないでしょ。

窓を開け、布団も掛けず眠る日々が続いたの。

暑くて眠れないんじゃ…なんて心配をよそに、意外なほどよく眠れたわ。

そんな生活を続けていたある日、ぐっすりと眠る私を雨の音が起こしたの。

突然の土砂降りに窓を閉めなきゃと思いながらも起き上がるのを面倒臭がっていると、左頬に涼しい風が当たっているのを感じたの。

フゥー... フゥゥ.... フゥ.......

雨の音に混じり小さな音と涼しい風が吹き付けてきたわ。

あぁ、扇風機か。扇風機…。

扇風機は、確か…

その瞬間、眩しく光った雷が照らし出したのは扇風機ではなく私に息を吹きかける皮膚が剥がれ落ちた女の顔だったのよ。

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第二十三話 【ポスト】

実家へ小包を送ろうと深夜一時頃に近くのポストへと向かったんだ。

蛾がたかって落ち着きのない薄ぼけた光が揺れる街灯に照らされ、赤いポストが見える。

そしてその前にもう一つ人影が見えた。

「ボソボソ…ボソボソ…」

少し前かがみになっているその人は楽しそうにポストに話しかけていた。

(うわぁ…あの人ポストに話しかけてる…)

ちょっとした恐怖を感じ、その人がいなくなるまで少し離れて待つことにしたんだ。

5分ほど待つと、その人は背筋を伸ばし満足そうに微笑みながら暗闇へと消えていった。

キョロキョロと周囲を確認しながらポストへと近付き、持っていた小包をポストの穴へと押しこんだ。

ガスッ ガスッ

何かが引っかかっているのか小包は一向にポストへ入っていかない。

大きさは大丈夫なはずなのにどうしてだろうと、前かがみになりポストの穴を覗いた。

真っ暗で何も見えない。

そっと穴へと手を伸ばすと何かに手を掴まれすごい力でグイッとポストの穴の中へと引っ張られた。

突然の展開にパニックになりながらも必死で手を引き抜いた。

なんとか引き抜いた手は、小指付近が少し赤くなり手の甲にはうっすらと引っかき傷が出来ていた。

じんわりとした痛みの残る手をさすりながら、少し離れて再びポストを覗いた。

さっきまで真っ暗だった穴からギョロリと俺を見る目と目があった。

声にならない悲鳴をあげ、すぐに走って逃げようと体の向きを変えた。

一歩、進めただろうか。

すぐに生暖かいものにぶつかって転んでしまったんだ。

顔を上げると目の前には前かがみになって嬉々として話しかけるさっきの男がいたんだよ。

「こわぁい話、聞かせてくれませんかぁ」

そいつは怪談話を求めているようで、恐怖で何も話せないでいる俺が気を失うまで嬉しそうに怪談話を聞かせ続けた。

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第二十四話【ランニング】

今年の春から早朝ランニングを始めたんです。

一人で黙々と走るものだと思っていたけれど、年配の方を中心に挨拶をしてくれる方が結構いました。

その中に一人、三十代半ばほどの男性がいるんです。

はじめはすれ違う際に目を合わせペコリと頭を下げるだけだったのが、途中から走る方向が一緒になるようになり、抜かしていく際に頭を下げられるようになりました。

更にしばらくすると抜かすことがなくなり、気がつくと私の数メートル後ろを同じペースで走っているようになったんです。

なんだか気持ち悪くなり、会うことがないように走る時間帯を夕方に変えることにしました。

夕方は年齢層が若く、朝ほど挨拶をする人が多くありません。

少し寂しさも感じながら走っていると背後から息切れが聞こえてきました。

走るのが遅い私は邪魔になると思い、少し左に避け後ろを見ました。

ハァハァと息を切らしていたのは見覚えのあるあの男でした。

気持ち悪さが恐怖に変わり、私はランニングそのものをやめてしまいました。

これであの男と会うことはないだろうと安心していたけれど、そう簡単には解決しませんでした。

仕事帰りや買い物中など、移動中の背後にあの男が現れるようになったんです。

ストーカーだと思っていたけれど、電車に乗っている時に電車と同じスピードで線路脇を走っている男を見た時、人じゃないと気付きました。

相談できる人もおらず、私は移動しないで済むように引きこもるようになりました。

でも、きっともう逃げられないんだと思います。

今では一歩も動かなくても現れるようになってしまいました。

ここまで来るのにもずっと背後を走っていたし、

今も…足音と息切れ、私以外に聞こえている方はいませんか?

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ありがとうございました。

では皆様、辛子を持って蝋燭の間へとお進みください。

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まりかさん コメントありがとうございますm(_ _)m
実話風怪談を書いたつもりがもう創作集がすごくなってきました。笑
是非立派な悪霊になってネタを...┏○

おでん屋さん、ご無沙汰しています!
ポスト、怖かったです…
人なのか霊なのか、はたまた妖怪なのか… そんな想像をさせられる恐怖感でした!
ごちそうさまです。

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