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百物語【第十四話~十六話】

長編9
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百物語【第十四話~十六話】

皆さま、怖い話を書いているのに、ふざけた作品を書いてすみませんと、あらかじめ謝っておきます。こわ~~いお話しのみ読みたい方は読み飛ばしていただいて構いません。

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第十四話

【トモダチコレクション】

私は、大のゲーム好きで最近、懐ゲーにハマっている。

最新式のゲームは、下手の横好きの私にはハードルが高い。

そこで私は、テクニックの必要のないほのぼの系のゲームを買ってきてはプレーしている。

数年前に流行ったもので、ゲーム内に島や町などのコミュニティーを作り、そこに友達を住まわせる、トモダチコレクションなる中古のゲームを購入した。

さっそく自分のアバターを作って友達はすべて職場の人間にした。

このゲームの内容は現実世界と同じ時間が流れるその町で、アバターが自分の意志を持ち、自由に暮らし始めるという内容だ。実在する人とそっくりなアバターを作り、性格もそっくりそのまま設定してみた。

さて、人間関係がどうなるのか楽しみだ。

プレイヤーのすることは、その住人のお世話(衣食住)とたまに遊んでやったり、相談にのってやったりすること。

ゲームを初めてしばらくすると、人間と同じように、お互いが関心を持ち始め交流し、恋愛感情を持ったり、喧嘩したりしはじめた。地味なゲームだが、意外とはじめてみると楽しい。

性格の情報はこちらからあらかじめ入力してあるので、やはり実際の人間関係と同じように、仲良くなる者とそうでない者が一致してなかなか興味深い。特に、TとAは非常に仲が良かった。

そんなある日、Tから私は相談を受けた。

「ねえ、Yちゃん(私)。相談に乗ってほしいんだけど。」

「どうしたの、Tちゃん。」

Tちゃんは職場の年下の女性。Aは、Tちゃんと付き合ってるという噂があった。

「最近ね、Aが冷たいの。たぶん、ほかに好きな人ができたと思うの。」

「そんなの思い過ごしじゃないの?あなたたち、あんなに仲がいいじゃない。」

「Yちゃんの前ではね。でも、二人っきりになるとAはすごく冷たいの。」

二人っきりになると、って。ゲームの中じゃん。そうか、私がゲームをオフにしてるときも、時間は流れているものね。けっこうよくできたゲームだこと。

「じゃあ私がそれとなく、Aくんに聞いておいてあげるね。」

そう私が言うと、Tちゃんは飛び上がって喜んだ。

「ありがとうYちゃん!大好き!」

私は思わず、ほほ笑んだ。本物のTちゃんそっくりで天真爛漫でかわいい。

私がAを部屋に呼んで、事情を聞くと、なかなか言い出さなかったが、ほかに好きな人ができた、Tちゃんの愛情が重い、とのことだった。うむむ、ゲームとはいえ侮れない生々しさ。さて、どうしたものか。

私はいったん、ゲームを終了して、そのまま寝てしまった。なるようになるだろう。

そう思っていた。

ところが次の日、ゲームをたちあげると、いきなりAから呼び出しをくらった。

「どうしたの?A君。」

暗い表情のAが重い口を開いた。

「俺、ゆうべTを殺してしまった。」

私は、頭の中が?でいっぱいになった。えーっと、これってこんなに生々しいゲームだっけ?

お子様もやるから、こんなのありえないんですけど。混乱する頭の中で答えを探していた。

何か入力しなくては。

「どうしてそんなことを。警察に自首したほうがいいよ。」

「いやだ。そんなことをしたら、俺の人生はおしまいだ。」

Aが頭をかかえた。

「ダメだよ。罪は償わなきゃ。」

そう入力すると、Aが無表情に顔をあげた。

「Yに相談したら解決してくれると思ったのに。知られたからには、Yも・・・。」

いやいや、ありえない、こんな展開。マジか。何かのバグかなあ、と考えたらいきなり後頭部に激痛が走った。

私は思わず後ろを振り向いた。

「A・・・くんっ?」

Aがゴルフクラブを持って立っていた。激痛が走った場所を触ると、おびただしい血が流れていた。

「な、なんで?」

私は薄れる意識の中、やっとのことで言葉を発した。

「知られたから。」

A君は無表情に私にもう一度クラブを振り下ろす。私は倒れこんだ。

ゲームなのに。なんで?

なんで?

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「お?トモダチコレクションかあ、懐かしい~。」

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※中古のゲームをプレイするときは、後ろに注意しましょう。

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第十五話

【シラセ】

「ねえねえ、知ってる?このトンネル、出るって話だよ。」

俺はいま、念願かなってかねてより狙っていた女の子とドライブ中だ。

彼女の名前は、まりか。

彼女はホラー好きで、少しでも彼女の気を引きたかったのだ。

お化け屋敷なんかで、カップルが親密になれるという、あの効果を狙ったのだ。

あわよくばこのまま、彼女をお持ち帰り。俺はよこしまな考えで、以前より出ると噂のこのトンネルのルートを利用させてもらうことにしたのだ。俺は霊感ゼロで、霊に関してはかなり懐疑的だ。あんなものは、ビビりの見せる幻視だろう。

「えー、本当?」

まりかちゃんが青ざめる。

「うん。なんでも、トンネルの中で横切るはずもない女性が目の前に飛び出してきて、車で轢いてしまう。そうしたら、人は必ず外に出て確認するだろう?すると、そこには誰もいないんだ。轢いた筈の女性はそこにはいない。確かに、衝撃はあったはずなのに。」

まりかちゃんは俺の話に引き込まれている。

「何もないから、発進するとね・・・血まみれの女が、猛スピードで車を追いかけてくるらしい。そして、その女に、トンネル内で、追いつかれてしまったら・・・・。」

俺はそこでもったいつけた。

「どうなるの?」

まりかちゃんは俺の話にくぎ付けだ。出るという噂はあるが、本当のところはわからず、この話は俺の創作だ。

ドンッ!

俺は思わず急ブレーキを踏んでいた。

目の前に、女が飛び出してきたのだ。

嘘だろう?トンネルの中で、ありえない。しかもあれは俺の創作話。

俺と、まりかちゃんは顔面蒼白になり、車から降りた。後ろからは車はきていない。

車のヘッドライトをつけたまま、あたりを探したが、どこにも人影はない。

でも、いま確かに車に衝撃があった。バンパーやボンネットを見たが、何も異常はなかった。

俺たちは、あわてて車に乗り込んで、車を急発進させた。

やばい。創作話が本当になった。

ということは・・・。俺は恐る恐る、ドアミラーとバックミラーを確認した。追いかけてくる女の姿はない。

俺はほっとした。

「本当だった!本当に出た!」

まりかちゃんは、怖いのか興奮しているのかわからないように早口でまくしたてた。

とりあえず、トンネルを抜けることができた。

いったいあの衝撃と人影はなんだったんだろう。

しばらくすると、街灯のある場所に出た。道路は街の明かりで煌々と照らされており、心底ほっとした。

「あー、怖かったあ。なんだったんだろうねー、あれ。怖い~。」

まりかちゃんは怖がっているけど、それより興味と興奮のほうが強いようだった。

これは、このまま、イケちゃう?

その時、対向車がこちらにパッシングしてきた。

なんだよ、いやがらせか?

そう思って対向車のドライバーを睨みつけると、慌ててこちらに何かを知らせようと身振り手振りをしている。

ん?ライトがハイビームになってるのか、それともついてないのか。

ライトを調べると、ちゃんと正常についている。

だいいちこんな明るい道、ライトがついてないくらいで、あんなに慌てて教えないだろう。

「ほんと、なんだったんだろうね。あれってやっぱ心霊現象なんじゃないの?」

そういうとまりかちゃんは怖がってやだー怖いと自分の腕を抱いた。

「大丈夫だって。俺がついてるじゃん。」

そう言うと、彼女の頭をポンポンとした。これってかなり女の子に有効らしい。

今度は、すれ違った対向車のトラックがこちらを見て、かなりぎょっとした顔になり、青ざめ、こちらに何かを大きな口でわめきちらし、運転中にも関わらず、携帯を取り出してどこかに電話しはじめた。

どうも違和感を感じて、俺はちょうど車が退避できそうな路肩を見つけたので、車を点検することにした。

ゆっくりと路肩に車を寄せはじめると、まりかちゃんが怪訝な顔をした。

「なんかすれ違う車が、盛んに何かを知らせてこようとするんだ。車がどうかなってるのかもしれないからちょっと点検するね。」

そう言いながら、ブレーキを踏むと、車の屋根の部分からフロントガラスに何かがずるんと滑り落ちた。

「きゃああああああ!」

「うわあああああああ!」

二人は同時に叫んだ。

フロントガラスには、髪の長い顔面ちまみれの女が張り付いてけたたましく笑っていたのだ。

後方からサイレンの音が近づいてきた。

振り返ると、警察車両だったので、俺たちは転がるように車外に出ると、

「フ、フロントガラスに!女が!女が!」

と車両から出てきた警察官にすがりついた。

警察官は、落ち着いてというと、俺の車をぐるっと回り

「何もいませんよ?」

と答えた。

「そんな、ばかな。先ほど、二人で見たんだ。髪の長い女がフロントガラスに張り付いてるのを!」

そう俺が話すと、警察官が

「実は、あなたの車の屋根に、女が張り付いていて、そのまま走行しているので危ないという通報を受けまして。それでこちらに向かったのですが。」

と言いながら、車を点検しても何もなく、しきりに首をひねっていた。

その場はいたずらでしょう、ということで警察は引き上げて行った。

俺と警察官が話している間中、まりかちゃんは車内で震えていた。

ようやく尋問が終わり、もうこれは、ドライブもすっかり白けてしまったので、今日のところは、まりかちゃんを送ろうと運転席に戻った。

「ごめんね、まりかちゃん。俺たち、きっと怖い怖いって思ってたから、幻でも見ちゃったんだね。」

そう言っても、まりかちゃんはガタガタ震えていた。

よほど怖かったんだな。下心はもうとっくになくて、可哀そうになってそっと肩を抱きしめた。

「んふふふふ。ふふっ。あはは、あははははは、きゃははははははは。」

まりかちゃんは震えていたのではなかった。

「ま、まりかちゃん?」

「なあに?」

上げた顔は血まみれだった。

「人殺し。」

そう言うとまりかちゃんは、女とは思えないような力で俺の首を絞めてきた。

ねえ、何で知ってるの?まりかちゃん。

俺の意識は徐々に遠くなって行った。

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第十六話

【秘密兵器】

「エマージェンシー、エマージェンシー、こちら怪獣迎撃部隊機1号!」

「どうした、何があったんだ!」

「帝都ビル前にガッジラ出現!予想以上に大きな個体です!至急応援願います!」

「よし、わかった!厚木基地より、応援機を向かわせる!」

その後、何機かの機体が飛んできて応戦したが、ガッジラにはまったく通用せず、被害は甚大になるばかりで、焼石に水だった。

「隊長!こうなったら最終兵器を使いましょう!」

対怪獣対策本部隊長、Nは迷っていた。

あの最終兵器を使えば、ガッジラを倒せるかもしれないが、リスクは大きい。

もしかしたら、私たちにも危険が降りかかるかもしれない。

「よし、わかった。住民は、皆シェルターに避難したか?」

「ええ、一人残らず。」

S女隊員が答えた。N隊長は、S隊員とは幼馴染だ。ひそかに好意を寄せていた時期もあった。

「S夫!すべての住民にヘッドフォンを用意するんだ。気密性の高い奴だ。なければ耳栓でもいい!」

NはS夫隊員にそう告げた。

「つ、ついに、あの最終兵器を使うんだな?N。」

S夫の喉がごくりと鳴った。S夫も、Nの幼馴染で腐れ縁だ。長い前髪をきざに横に流している。

「よし、じゃあ、頼むぞ、G。すべては君にかかっている。」

「おう!任せろ!」

そしてGも幼馴染だ。豪快な性格で、幼いころはNはGにいじめられていたこともあったが、今は友達であり、この対怪獣対策本部には欠かせない存在だ。

隊員全員が、高気密のヘッドフォンを耳に当て、思いっきり上から押さえつけさらに気密性を高くした。

「よし、じゃあ、行くぞ!」

皆が、Gの掛け声に息をのみ、あるものは目を閉じた。

「おぅ~れぇはぁ~」

その音で、本部の窓がすべて割れ、悲鳴があがった。

「じゃいあ~~~~~ん!」

地響き、空気が震える。ガッジラが苦しそうに耳を抑えた。

「がぁっきぃだいしょおおおおおおおお!」

爆風がガッジラを吹き飛ばす。ガッジラが倒れて送電線に接触し、鉄塔が倒れた。

「おぅ~れはぁ~」

大音量でスピーカーからガッジラを攻撃するその歌は、最終兵器、「リサイタル」

「じゃいあ~~~~~~~ん!」

ぱぎゃおおおおん。

耳を抑えてのたうち回るガッジラ。

「がぁっきぃだいじょおおおおおおお!」

ガッジラの頭部が爆発した。

「やった!やったぞ、じゃいあん!」

「おい、のびた。もうそのあだ名はやめてくれよ。」

そう言って、ゴウダは照れた。

「じゃいあんだって。俺のことのびたって言ってるし」

野比は笑った。

こうして、ふたたび、この街に平和が訪れた。

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こげ様
コメント、怖い、ありがとうございます。
うわっ、そんな救いの無いゲームってあるのかw
外国人風に発音してみました(ガッジラ)
映画館でみてみたいのですが、最近、映像酔いしてしまうので映画館で映画がみれなくなったんですよ。
たぶん、最近の映画の映像が凄すぎて、目と脳がついていかないんでしょうね。

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よもつさん、こんにちは!
トモダチコレクションを見て、私もあるゲームを思い出しました!
2話目、まさかのまりかさん登場、いや、内容が実に怖かったです。

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十六話目ダメでしょwww
怖い話とのメリハリの付け方が上手いですな。

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よもつさん!
リサイタルで笑ってしまいました!
でも他の2つの話しは怖かったです。
沙羅さん同じ様な経験してるとは!
怖くて心臓止まると思います。ビビリなので(>_

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