百物語【第四十六話~五十話】

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百物語【第四十六話~五十話】

いやいや、皆さんほんとにたくさんの怖い話をありがとうございます。

この状況で私がお話するのも大恐縮なのですが、折角の機会ですので、お話させていただきます。

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普段は完全なる創作をここで披露している訳ですが、今回は私が経験した、もしくは人から聞いた話を話させていただきたいと思います。なので、怖さやオチなどいま一つ物足りないかもしれません。

ですが、これから話す「お話」は全て嘘偽りのない事実だ、ということを意識して聞いてもらえば、幾分か怖さが増すのではないでしょうか。

では、早速始めましょうか。

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「窓を開ける音」

これは、まだ私が小学生の頃に親の知人から聞いた話です。

仮にDさんとします。

Dさんは出張の為に、現地で一泊することになったそうです。

もう一人仲間がいて、二人で適当に安いホテルを探していました。

すると、運よく格安のビジネスホテルがあっさり見つかり、そこに泊まることになりました。後は、寝るだけだったので、特に求めることはなかったようです。

チェックインを済まし、二人は各々に部屋に入りました。Dさんの部屋、その隣が仲間さん、並んでの宿泊です。

Dさんは、さっさと寝る支度をし、ベッドに入りました。ですが、何故か眠れない。

Dさんは、寝つきがいい方らしく、あの日だけは珍しく眠れなかった、とそう何度も私に言っていたのを覚えています。

仕方ないので、眠くなるまで本を読むことに。

しばらくページを捲っていると、隣の部屋から音が聞こえてきます。もちろん、仲間さんが泊まっている部屋からです。

窓を開け閉めする音、後は僅かに呼吸している音が聞こえたそうです。

(彼も眠れないのか)

とDさんは思い、やはり出張先では誰でも寝れないものなんだな、と安心したそうです。

そこからまたしばらく読書を続けていると、さすがにうとうと、と眠くなり始めました。ぱっと時計を見ると、時刻は深夜の3時過ぎ。さあ、早く眠らないと、そう思った時でした。

――窓を開け閉めする音、そして僅かに聞こえる呼吸。

(まだ寝れないのか。明日あいつ辛いだろうな)

 彼を憐れみながらもDさんは、ようやく眠りに就きました。

 

翌朝。二人はチェックアウトすると、Dさんは仲間さんに尋ねました。

「おまえ昨日何時に寝たんだ?」

「え、俺? えーとそうだなー……」としばらく考え込む仲間さん。

「全然寝れなかったんだろ? 俺もさあー全然寝つけなくて大変でさー」

「いやいや、俺すぐ寝たよ」

「は? 嘘つくなよ」

「こんなことで嘘ついてどうするんだよ」

 そこで、Dさんは昨日、仲間さんの部屋から聞こえた音について説明しました。だが、必死に仲間さんは「俺はすぐに寝た」と言うのみ。

「じゃあ、俺が聞いたのはなんだったのかな?」

「それは……ゆう……れい?」

二人はお互いにしばらく黙ってしまったそうです。

一体Dさんが聞いた音は何だったのでしょうか?

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「誰の声」

この話は私が体験した話です。まあ、話と言うほど長くなく、すぐに終わるちょっとしたことです。

あれは、多分小学生低学年の頃だったと思います。

当時私は、自分の部屋で漫画を読んでいました。漫画に没頭していると「ごはんで来たよー」と母の声がしました。

私は漫画を閉じて「わかった」と言おうとした時です。

「おう」

低く呻いたような声。

私は瞬時に思考が止まりました。

すると、扉一枚向こうにリビングがあるのですが、母が険しい表情をして私の部屋に入るなり「今の誰?」と聞いてきます。

家には私と母しかいません。聞こえる筈のない声が何処からともなくたった今聞こえました。私と母はしばらく黙ってお互いを見合いました。

外から聞こえてきた感じでもありませんし、テレビもついていませんでした。

私の体感では、身の回りから二メートル以内の距離から聞こえた気がします。驚くほどにはっきりと「おう」と聞こえましたし、結構過去の出来事ですが今でもはっきりと「おう」の声が耳に残っています。

気のせいだったのでしょうか……。

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「動画に入った声」

これは私の小学校の同級生が体験した話です。

じゃあ、彼をKくんとしましょう。

Kくんが高校生の時です。高校の友人を連れて、都内ではそこそこ有名な心霊スポットに行くことになりました。ですが、夜は怖いので、昼に行くことに。肝試しでも何でもないですよね。

まあ、当然ですが、実際に行ってみると全然怖くなくて、ただ敷地内をぶらりと散歩しただけ、という味気ない結果になりました。

その後、休憩で近くにあるファーストフード店に。

「一応動画見てみようよ」とKくんの友達が言いだしました。

複数で散歩している最中に、その内の一人が携帯電話で動画を撮っていたので、それを見てみることにしました。まさか、何か映ってないよな、と冗談交じりに動画に期待します。ですが、これはまだ日が出ているうちにある余裕なだけで、実際には何も映っていないだろう、とKくんは思ていました。

二、三分の動画を再生して、皆は携帯電話の前に群がります。映るのは今さっきまでのただの散歩。何も面白くない会話、しょうもないギャグめいたこと、急に驚かす悪ふざけ、と高校生がやりがちなことがひたすら映し出されます。見せ場もなくもう動画が終わる、その時でした。

「ありがとう」

聞き覚えのない女性の声。

 皆が慌てます。Kくんも鼓動が早くなったと言っていました。もう一回再生すると、やはり「ありがとう」と間違いなく声が入っていました。映像の女性の声がした時は、近くに彼らしかいなかった筈です。お互いに確認しても、誰かいた記憶はないそうです。

とここまでKくんから聞いた私は「嘘だろー」と茶化しました。すると、Kくんは黙って自分の携帯電話を取り出し、少々いじると私に渡しました。

そこに映っているのは、例の動画。耳をすまして聞いてると

「ありがとう」と女性の声。

 その途端に一気に鳥肌が立ちました。

それからはKくんは悪ふざけで心霊スポットに行くことはやめたそうです。

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「テレビ電話」

これもKくんに聞いた話です。

Kくんの高校の友達であるAとBの話。

AとBは仲がよく、夜になるとたまにテレビ電話をしていたそうです。

その日も、いつものようにテレビ電話でたわいもない会話をしていました。

お互いに勉強机に座りながらの電話で、Bに関しては机の電灯のみがついていて、背後は真っ暗だったそうです。

すると、Bの横から小さい手、腕がささっといったりきたりします。Aは「ああ妹まだおきているのか」と特にそれについては触れずに、会話をしてました。

ですが、それからずっと同じことを繰り返し、今度はうっすらと顔がBの横から現れます。何故か映像はぼやけていたそうです。Aは背後が暗いからだろう、と特に思わなかったのですが、妹はかまってほしいのか、ずっと手を出したり、顔を出したりするので、さすがに目障りになったので、Bに言おうとしました。

すると、タイミングよく電波が悪くなり、その後切れてしまいました。

Aとしてはそれがちょうどいい終りのタイミングだと思ったので、折り返しかけることはせずに「また明日な」とメールを送り寝てしまいました。

翌日。AはBに合うや否や「お前の妹ほんとに落ち着きないな」と言ったところ「え? なんで?」と聞き返してきました。

「いや、だって昨日テレビ電話の時ずっとお前の周りうろちょろしてたじゃん」

「はあ?」

 Bは顔をしかめて本気で言い返しました。

「妹は今母ちゃんと旅行行ってていないんだけど」

「え。じゃああれは」

 Aは昨日のテレビ電話に映っていたことをBに知らせると、途端に顔を青くして一言も発しなくなりました。

その後は、テレビ電話をあまりしなくなったそうです。

映像というのは霊を映しやすいのでしょうか。

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「鳥人間」

これは私が高校生の時に付き合っていた彼女が体験したことです。

Mちゃんとしましょうか。

その彼女と付き合い始め時、何気ない会話から私が「Mちゃんって霊感あったりする?」と聞きました。すると意外にも「すごいある」と答えました。

詳しく聞くと、普段から見えるのではなく、主に自宅内で見えるそうです。それを聞いて興味津々となった私は、更に質問しました。

「なんか怖かったことなかったの?」

「いっぱいあるよ。電話の配線が寝ている間に首に巻きついたり、鋏が飛んできたり……」

 と平気でもの凄いこと話すMちゃん。それって下手したら殺されるんじゃないか、と私は不安に思いました。

「でも、最近もっとすごくて夜中に男の霊が出るようになったの」

 まあ、ありがちというか、心霊体験にしてはよく聞きそうなことでしたが、身近な存在が真面目に話すのを聞くのは初めてだったので身が強張りました。

「しかも、金縛りにあって動けないんだけど、その男の霊が私に触ってくるの」

「ええ! それやばいね」

充分これだけで怖いのですが、彼女はまだ話を続けました。

「それでね、その男の霊は私を犯してくるの」

「……お、おかしてくる?」

「うん」

 私は一体彼女は何を言っているのだろう、と不思議に思いました。Mちゃんは本当に純心な清楚な女子なのですが、彼女の口から「犯される」という言葉が出てくるとは、思ってもいませんでした。

「犯されるって要は、あれ……だよね。その夜の営み的な」

私も何て言っていいかわからず、しどろもどろになりながら確認しました。彼女は本当に悩んでいるようで、悲しそうな表情で頷きました。

私は、生まれて初めて幽霊に嫉妬しました。

ですが、すぐすると出なくなったみたいで、私の幽霊嫉妬事件は解決しました。

それからしばらくたったある日。一緒に下校していると、真剣な表情でMちゃんは口を開きました。

「また犯されるようになった」

「え、また?」

 内心では「でたーそれ!」とズコーっと転んでいました。とりあえず話は聞いてあげようと思い、「また男の霊?」と聞きました。

「今度は違うの」

「え、違う? 今度は何なの?」

 彼女は少し泣きそうになりながら口を開きます。

「今度は鳥人間なの」

「……と、とりにんげん?」

 彼女は一体何を言っているのだろうか。鳥人間? 何それ。

「鳥人間て何?」

「顔が鳥で身体は人間」

 それは幽霊なのだろうか。先ず思ったことはそれでした。ですが、彼女が言うにはそれも幽霊だそうです。

その後の展開を聞く前に、何故か私がふられましたが、全く変わった霊感の持ち主がいるもんだな、と思った体験です。

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これで私のお話は以上です。

さて、次はどなたの番ですか?

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修行者さん

コメントありがとうございます!

お祓いは一瞬頭によぎりましたが、いやいや大げさか、とすぐに諦めましたが、結果オーライでした。

そうなんですよ。
だから聞き間違いではない、それだけでもう・・・ハイ怖いですよねw

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おでん屋さん

コメントありがとうございます!

後々わかるのも結構怖いパターンですよね。
そうですねー声だけっていうのも何かリアルというか現実では、姿形というよりかは
このパターンの方が多いのかなあ、と思いました。

私も一回、道端で通りすがりの人に声をかけた時、異常に驚かれた時は、自分も驚きましたw

バンビさん

コメントありがとうございます!

私としましては、どちらかと言えば幽霊はいないと思っているんですが、
やはり、理屈で説明できない出来事を体験すると、やはりいるのかなあ、と思い直しますね。

できれば、同じ体験はもうしたくないですw

まりかさん

コメントありがとうございます!

ほんと怖かったです。
辻褄とか関係ないですよ。
意味不明というかそれでも現れる・・・いつまたこういったことに遭遇するかと思ったら、
怖いです(゜_゜>)

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ふたばさん

コメントありがとうございます!

高校卒業後会っていないので、その後どうなっているのかわかりません。
SNS関連でも一切出てこないので、不安になってきました・・・。

珍味さん

コメントありがとうございます!
初めて霊感がある人と接してわかりましたが、嘘臭い感じが一切なかったので、信じてしまいます。
そう思うと、霊感なくてよかったなあと思います。

ロビンさん

コメントありがとうございます!

そうですか……やはり百物語は呼び寄せるのでしょうか。
と思うと完遂した時……やばいですね|д゚)

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どのお話もリアリティがあって怖かったです。まさに百物語と言う感じで。

読んでいると突然隣りの部屋のハムちゃんが暴れだして、思わず飛び跳ねそうになった事はここだけの秘密です…ひひ…