夏子が、秀夫を忌み子と思うのには理由があった。
あれは、ある蒸し暑い夏の夜だった。
夏子夫婦には、当時、まだ子供がおらず、その頃から、別荘地の管理をしていた。
その日は、明日から来る別荘の所有者のために、部屋の掃除、庭の手入れなどで大忙しで、しかも次の朝一番で到着するとのことで、夏子は自宅には帰らず、そのまま別荘の管理小屋で眠ることになったのだ。
寝苦しい熱帯夜に、ようやく寝付いた頃、夏子は淫夢を見ていた。
夢の中で、無数の触手を持つ化け物に、体をまさぐられた。
本来ならそこで、恐怖を感じるはずなのに、夏子は絶頂に達したのだ。
夏子は夢から覚め、飛び起きた時に、違和感を感じた。
下半身にヌルリとした感触を感じたのだ。夏子は、恐る恐る、トイレで下着を下ろした。
すると、下着にはおびただしい白い液体が付着していたのだ。
どうして?あれは夢なのに。夏子は、わけがわからなかった。
誰かが侵入してきた気配も無い。どう考えても、部屋の中は夏子一人しか居なかったのだ。
その夏、夏子は、子供を身篭った。それが秀夫であった。
夫はたいそう喜んだが、夏子は妊娠を喜べなかった。夏子は、秀夫を見るたびに、あのおぞましい化け物を思い出してしまうのだ。
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元県警本部長、草加聡一は、かつての部下である、吉田からの電話を受け、あの忌まわしい殺人事件の数々を思い出していた。
凄惨な殺人現場。
顔の無い男、N。
Nは何にでも成り得る。
何度も輪廻転生を繰り返し、人を殺し続けるシリアルキラー。
草加はそのようなオカルトじみた話を信じるような男ではなかった。
しかし、目の前で起こった不可解な真実は、どう科学で解明しようとしても、謎は解けなかったのだ。
かつての部下の吉田を助けたいのはヤマヤマだが、もう草加は老体である。
吉田は今から、あの霊媒師から預かった箱を草加に託したいと言った。
国に働きかけ、あの土地を買い上げるように働きかけてくれたあの人物の電話番号を押す。
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太古、神武天皇以前に、奈良にいたもう一つの天皇家「八咫烏」。遡ること、邪馬台国の時代から彼らは存在した。八咫烏の正体は物部氏である。神武天皇に国譲りをした以降は裏天皇として存在を維持することになる。
その八咫烏の血を引くとある人物、物部氏の子孫、宮尾和明その人である。
草加は宮尾にその箱を託すつもりだ。
宮尾は、今は神社の宮司をしている。神社の宮司が何故国を動かすほどの影響力を持つのか。
天皇家を影で支えていたのは、裏天皇である宮尾の祖先であり、度重なる遷都も実は、八咫烏による助言によるものでもあるのだ。
草加は、吉田からの電話に答えた。
「今から信頼のおける人物にそちらへ向かうように連絡を取ってみる。間に合えば良いのだが。」
吉田から、霊媒師からの預かった呪府で封印された箱を託したいといわれたが、事は一刻を争う。
草加の長年の感がそう感じさせたのだ。
吉田にはその箱を持って、現場に急行するように伝えた。
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凛が乗り移った史華は、洋子を後ろから渾身の力で羽交い絞めした。
「離せ!離せってのよ!」
ジタバタと暴れる洋子を押さえつける。
「洋子さん!あなたは操られてるのよ。お願い、正気に戻って!」
「うるさい!私は操られてなんかいない!」
洋子は狂ったように、箱を開けようと躍起になっている。
ーいいぞ、もう少しだ洋子ー
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頭が痛い。
あれ?誰かが言い争う声がする。
ここは、どこだ。俺たちは確か、心霊スポットの別荘地に来て・・・。
ぼんやりする頭をようやく起こした太郎は一生懸命記憶を辿る。
そうだ。誰かの声がして、俺は気を失った。
この声は、史華と洋子?
そうだ。史華と洋子の様子がおかしくなって、争う二人を止めようと・・・。
横には進と夏美が倒れていた。
「おい、夏美!進!大丈夫か?」
太郎は二人の体を揺さぶった。
二人とも太郎と同様に気を失っていたらしく、ようやく目を覚ました。
目の前には狂ったように、争う史華と洋子。
「やめろ!二人とも!」
進と太郎が二人を引き剥がそうとする。
ーちっ。もうちょっとってところで、邪魔が入ったー
男の力で二人を引き剥がそうとしても、なかなか二人はもみ合って絡まり離れない。
その後ろから、顔面蒼白な夏美が虚空を見つめていた。
ーこの女、視えるのか。意識して、姿を消している俺のことがー
そして目を閉じると、夏美は読経を唱え始めた。
ーふはははは、小娘が。その程度の力で俺に歯向かおうというのか、面白いー
Nは、ターゲットを夏美に変えた。
「うぅっ」
夏美は、前のめりに倒れ、膝をついた。
「夏美?」
Nの呪縛を解かれた4人は夏美を振り返った。
夏美は首を掻き毟り、苦しんでいる。
「夏美!どうした、夏美!」
太郎が夏美の体を揺さぶる。
「太郎、夏美の後ろに男がいる!」
進が指差した。
ーほほう、こいつも視えるのかー
Nはいっそう力を加え、夏美の首を締め上げた。
ー俺は、女の苦痛に歪む顔が大好きなんだ。もっと苦しめ!-
「このやろう!夏美から離れろ!」
太郎が咆哮した。
「警察だ!お前ら、何をしているんだ!」
かけつけた吉田が叫んだ。後方には、後輩刑事の古賀も控えている。
あけられた地下室への穴を見て吉田は思った。しまった、遅かったか。
もっと早くに手を打つべきだった。
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その時だった。玄関に突如として、白装束の男が現れたのだ。
「誰ですか?あなたは。」
古賀がその白装束の男に詰め寄った。
「私は、草加元県警本部長の依頼により、邪悪な物を封印に参りました。宮尾と申します。」
訝しげに顔を覗きこむ古賀を押さえて、吉田が前に進む。
「心配ない。私が草加元本部長にお願いしたのだ。草加元本部長から依頼されたのですね?」
そう吉田が訪ねると、宮尾は黙って頷いた。
吉田は呪符で封印された黒い箱を、宮尾に差し出す。
「下がっていなさい。」
そう言うと、宮尾は夏美の前に立ちはだかった。
そして、口の前に人差し指をあて、言葉を発した。
「臨(リン)!兵(ビョウ)!闘(トウ)!者(シャ)!皆(カイ)!陣(ジン)!裂(レツ)!在(ザイ)!前(ゼン)」
瞬間、夏美を捕らえていた力が一気に抜けた。
ー誰だ、お前はー
Nはただならぬ気を感じた。こいつは只者ではない。
咄嗟にNは、また洋子に取り憑いて一気に箱を踵で踏み抜いたのだ。
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ーやったぞ。ついに、俺の封印は全て解かれた!体に力がみなぎって行く。
そうだ、思い出したぞ。俺はNなどという符丁で呼ばれているが、本当の名前は。
野呂捨吉だ。名前の通り、俺は野に打ち捨てられていたのだ。その村の、子供が居ない夫婦に拾われた。
だが、その夫婦は愛情からではなく、俺を労働力として拾ったのだ。愛情を注がれることなく、野良仕事ができるような年になると、すぐに馬車馬のように働かされたのだ。俺はいつも疲れきって、腹をすかせていた。
食べる物もろくに与えられなかった。腹が減った時には、他所の畑の作物を盗み、見つかって子供にも関わらず動けなくなるまで酷く殴られた。動けなくなっても、涙は出てきた。悔しい。皆殺してやりたい。
殺す、殺す、殺す。そう呪詛の言葉を唱えていると、俺の体がドクンと脈打った。
「殺したいのか」
「そうだ。俺は、この村の奴らを一人残らず、殺したい。」
「ならば力をやろう」
俺の体に異変が起きた。ぐんぐんと力がみなぎる。体が一回り大きくなったように感じた。
これを使うのだ。気がつくと俺の隣には、怪しく光る刀が落ちていた。
俺は、その刀の柄を握ると、村へと走った。いったい何人の人を斬ったかわからない。
今まで俺をバカにしていたやつらが恐怖の表情を浮かべ逃げ惑う。
あはははははは!死ね死ね死ね死ねーーーーーー!みんな死んでしまえ!
我は無敵なり!捨吉などという名ではない。もっと我にふさわしい名前で呼ばれていたはず。
我は旧支配者なり。畏怖の念をこめられて呼ばれた名前。
ナイアーラトテップ!-
室内にも関わらず、猛烈な嵐のような風が吹き荒れた。
黒い風が竜巻のように渦を巻き、一つの黒い塊を生んだ。
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「な、なんだこれは!」
その姿は、霊感の無い者にもはっきりと確認することができた。
この世のものとは思えないおぞましい姿。
ゼリー状の触手がいくつも絡まり、その隙間から人間の顔が無数に出ている。
その顔の表情は皆、苦痛に満ちている。
「こ、これは!」
吉田は呆然とした。その無数の顔の中に、忘れもしない顔があったからだ。
「秀夫・・・・」
それだけではない。その母親の夏子。そして、これまで犠牲になってきたであろう、女達、別荘で秀夫に殺された7人の被害者の顔もあった。どの顔も苦痛に満ちた顔で叫び続けている。
「我は神になった。我こそは、狂気と混乱をもたらす神、ナイアーラトテップ。これから我は、千もの顔を持つまで人を殺す。そしてこの世界の支配者となるのだ。」
「バ、バケモノッ!」
吉田の後ろで古賀は失禁していた。
「我はお前達の負のエネルギーによって封印を解かれたようなものだ。人間の負のエネルギーは素晴らしい。特に、この肝試しに訪れた、こいつらの負のエネルギーは格別だったな。」
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呆然とする全員の前に、白装束のその人、宮尾和明は立ちはだかる。
「お前の好きにはさせない!」
「人間ごときが!」
触手が宮尾を襲う。
するりと触手を避けると、宮尾は床に手を着いて唱える。
「おん そわはんば しゅださらば たらま そわはんば しゅどかん!」
触手が宮尾を捕らえようとする。またひらりと、かわすと、バケモノの後ろに移動する。
「おん たたぎゃと どはんばや そわか !」
そして、また床に手を着く。
「小ざかしい!」
ナイアーラトテップは咆哮した。素早く宮尾は、また対面に移動する。
「おん はんどぼ どはんばや そわか! 」
床に手を着く。そのすぐ側の床を触手が叩くと、床がひび割れた。
「おん ばぞろ どはんばや そわか!」
叫ぶと、ぐるりと触手を翻弄する。そして、また床に手を着く。
「おん ばざら ぎに はらち はたや そわか!」
宮尾が大きく咆哮し、床を叩くと大地が揺れた。
すると、ナイアーラトテップは光に包まれた。
なんだ、この光は。
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「お前の周りに、結界を張った。」
そう宮尾は涼しい顔で言い放った。
五芒星の光が、ナイアーラトテップを包む。
異形の物の形が崩れていく。
「急急如律令、急急如律令、急急如律令!」
宮尾が叫ぶと、異形の怪物は芥塵へと姿を変えて行く。
その時、大地が激しく揺れた。
地下に施された、七芒星が猛烈な光を放ったのだ。
「奇跡だ」
皆その美しい光の中に、浄化された人々の笑顔を見た。
ナイアーラトテップに捕らわれた、哀れな魂は、天に召されたのだ。
そして、細分化された、ナイアーラトテップ、Nの魂は、宮尾の手の、漆黒の箱に封印された。
太郎たちも、刑事も、皆、今見た物が現実なのかわからず、呆然としていた。
皆、長い夢を見ているのではないかと思ったのだ。
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「皆さんは信じられないと思いますが、これは、人間の負のエネルギー、すなわちあなたがたのエネルギーによって作られた異形の物です。その昔、平安の時代、安倍晴明のライバルに蘆屋道満という陰陽師がいたのをご存知ですか?」
先ほどまで大捕り物をしていたとは思えないほど涼しい顔で宮尾は語った。
「蘆屋道満は、本当は晴明より年若く、優秀な陰陽師だったのですが、あえて晴明の弟子となった。それは、藤原顕光により道満が政敵である藤原道長への呪詛を命じられたため、相手を謀ろうとしたのです。道満は、自分の使鬼を故郷の井戸に封じてから上京したと言われていましたが、実は本当は使鬼を連れて上京していたのです。呪詛を仕掛ければ仕掛けるほど、使鬼の力は膨大になって行き、とうとう道満の力でも封じることが危うくなってきた。そこで、初めて道満は使鬼を封じた。それがこの地なんです。恐らく、あれは道満が封じた使鬼。」
「ということは、先ほどのバケモノは、元を正せば、使鬼ということなのですか?」
進がたずねた。
「そういうことになりますね。この箱は生涯私が預かります。もう二度と、蘇ることのないように。それより、そこのお嬢さん、酷い怪我です。早く救急車を。」
そう言われ、呆然としていた洋子は、初めて激痛を感じたのだ。
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洋子は病院に運ばれ、足の骨折と爪の負傷で全治1ヶ月。
他の者は、立ち入り禁止の国の管理地に不法侵入したということで、しばらく拘留された。
もうあの地で、事件が起こることはないだろう。
七つの箱は、宮尾によって、またしっかりと封印された。
しかも、宮尾がNの本体を封印した箱を持ち帰って管理するのだ。
たとえ、あの地にまた負のエネルギーが集まろうとも、心霊現象が起こることはないだろう。
洋子は、命がけで助けに来た太郎を見直し、二人の仲は深まった。
そして、史華はあれ以来、ブリっ子をやめた。自分らしく生きることに決めたのだ。
洋子とは、それからは本音の付き合いを始めた。
時には言い争い喧嘩をするほど、お互いに本音で付き合える友人となったのだ。
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吉田はこの事件のことを、単なる若者による、国有地への不法侵入と説明した。
こんな荒唐無稽な話を誰が信じる。
吉田は今までの事件のことを考えていた。吉田とて刑事である前に、人間だ。
凄惨な事件を見るたびに、やりきれない気持ちになる。
しかも、その相手が姿を持たぬ、この世の物ではないというジレンマ。
追いかけても無駄だったイタチごっこにようやく終止符を打つことができたのだ。
ようやく、殺された人間の無念が晴らされた。
吉田は肩の荷をようやく降ろすことができた。
「あのー、僕が失禁したこと、黙っててくださいね。」
まだ肩の荷は降りていないか。
この頼りない坊やをたたき上げの刑事にする役目が俺にはある。
吉田は失笑した。その時、地鳴りがして、地面がグラリと揺れた。
ビルの間を黒い風が渡った気がした。
吉田は妙な胸騒ぎを覚え、額をいやな汗が流れた。
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半年が経過した。
「いやあ、相変わらず、この店、暑いねえ。おやっさん、ちゃんとクーラー入れてんの?」
太郎と進は、いつもの中華料理店のボックス席に座っていた。
「ちゃんと入ってますよ・・・ひひ・・・」
すると、店に女が暖簾をくぐって入ってきた。
「もー、相変わらず暑い店ね。おじさーん、アタシ、ビールね!それと、酢豚と餃子!」
ミニスカートに肩が脱げそうなカットソーを着た派手な女、彼女の名は史華。
「お前はおっさんか!wいきなり昼間っからビールかよ。」
太郎が史華を茶化した。
「いいじゃんね。別に。」
「いやあ、史華ちゃん、雰囲気、変わったねー。」
進むがしみじみと言う。
「ほんと、今までブリっ子してきたから疲れちゃったわよ。今、すっごい楽!」
いたずらっぽく笑う史華。
そして、また一人、女が暖簾をくぐる。
「兄貴ー、こんなところにいたの?ちゃんと、職探し、してるんでしょうね?」
夏美が、太郎の隣にどかっと座った。
「探してるって。」
「嘘、たばこくさーい。パチスロでも打ってたんでしょ!」
ギクッ、図星。
「そ、そんなこと、あるわけないだろう。なあ?あ、進、お前煙草吸ったろ?」
「進さんが吸うわけないじゃん。」
ちっ、バレた。進、目がハートマークになってるぞ。人の妹に色目使うんじゃねえよ。
「ところで、兄貴、最近、洋子さんとどうなの?ちっとも一緒に居ないじゃん。」
進が、夏美を上目遣いで見た。
「いやあ、それが、太郎、フラれちゃったんだよ。」
「バカ、言うなよ!」と太郎。
「え?どういうこと?聞いてないよ。」と夏美。
「アンタのバカ兄貴が浮気したからよ!」
そう言うと、史華が高級そうなバッグでパコンと太郎の頭を叩いた。
「い、いや、誤解だよ。あれはさ、元の会社の同僚でさ。」
「へえ~、同僚を部屋に泊めたりすんの?」
「サイッテー、兄貴。あ、おじさーん、アタシウーロン茶とチャーハンね。」
「アイヨッ!」
夏美も太郎の頭を拳骨で殴った。
「いってえなあ。何も拳骨で殴ることないだろう。」
「で、洋子は今、ロンドンで修行中よ。本格的に店を出すこと考えてるらしいわ。」
史華が笑う。
「あの騒動以来、みんな変わったね。」
「そうだね。まだ、アタシ信じられない。」
「でもなんで、あの時、地下からも光が溢れたんだろう?宮尾さんが張った五芒星の結界から光が溢れるのはわかるけど。地下からなんで?」
夏美は首をかしげる。
「それはね、夏美ちゃん。七芒星ってのは、魔よけのお守り、護符として、古来から使用されていて、この形は宇宙最高のパワーを得られるとも言われてるんだ。だからよくアクセサリーや銀貨なんかにもこの形は使用されている。そして、古代では絵が文字になっていて、風水になぞれば、火という文字の頂点を結べば五芒星、水という文字の頂点を結べば六芒星、そして光という文字の頂点を結べば七芒星になる。そして、7という数字は、完了、調和を意味する。あの子たちの母親を守りたい気持ちが奇跡を起こしたのかもしれないね。」
進むが夏美に説明した。
「へえ~、進さんって何でも知っているんだねー。」
夏美に尊敬のまなざしを送られて、進は赤面した。
太郎はビールを飲みながら、思い出していた。もうあんな騒動はこりごりだ。
軽い気持ちで心霊スポットを探検するつもりがあんな騒動に巻き込まれ、世にも恐ろしい化け物を見た。
あの後、すぐに太郎はネットに書き込んだのだ。
「皆殺しの家ってみんな恐れてるけど、なんてことはない。ただの廃屋だったぜ。」
これ以上、負のエネルギーが集まり、二度とあのような事件が起きないように。
そして、Nによって殺された者の魂が安らかに眠れますように。
「ねえ、おじさーん。あたしの酢豚、まだあ?」
「少々、お待ちを!」
全く。おじさん、おじさんって。
ウルセエんだよ、小娘が。
俺はおじさんじゃねえっつうの。
中華料理屋の男はそう言うと、大きな中華包丁を、豚肉に振り下ろすと、肉が面白いように真っ二つに裂けて吹き飛んだ。
「殺してやろうか・・・ひひ・・・・」
作者よもつひらさか
こんばんは。ようやく完成しました。
一話一話、よく読んだつもりではありますが、もしも矛盾点がありましたらご指摘をお願いします。
読む端から、忘れてしまう老体よもつです。老体に鞭打ってなんとか書いてみました。
はっきり言って、カ・オ・ス。
本当に今までの皆さんの苦労をぶち壊しにしてる感がハンパない仕上がりになってしまったw
では、一応、今までのリレー走者の紹介です。
第一走者:ロビンM太郎.com様→http://kowabana.jp/stories/25198
第二走者:鏡水花様→http://kowabana.jp/stories/25206
第三走者:紅茶ミルク番長様→http://kowabana.jp/stories/25219
第四走者:あんみつ姫様→http://kowabana.jp/stories/25232
第五走者:mami様→http://kowabana.jp/stories/25244
第六走者:ゴルゴム13様→http://kowabana.jp/stories/25256
第七走者:ラグト様→http://kowabana.jp/stories/25269
第八走者:龍田詩織様 →http://kowabana.jp/stories/25277
第九走者:小夜子様→http://kowabana.jp/stories/25283
外伝 :マガツヒ様→http://kowabana.jp/stories/25299
皆様、ご執筆、お疲れ様でした。
【登場人物】
野呂 太郎 → 年齢20歳、元暴走族上がりのオラオラ系だが、現在はすっかり丸くなり、ガソリンスタンドで契約社員として勤めている。霊感多少有り。
龍田 進 → 年齢20歳 太郎の親友(幼馴染み)。太郎とは正反対の容姿で、頭脳明晰な大学生。実家暮らし。霊媒体質。
平坂 洋子 → 年齢19歳、太郎の彼女。一方的な太郎の片思いと積極的なアプローチに負け、三カ月前から付き合い始めた。 社会人一年目の美容部員。霊感無し。
川久保 史華 → 年齢19歳。洋子の親友。高校卒業後、実家の由緒ある酒屋さんの手伝いをしている。話し口調は萌え系。密かに龍田進に想いを寄せている。霊感無し。
野呂 夏美 → 年齢17歳。太郎の妹で美人。口調は男っぽく柔道の有段者。意外と泣き虫。高校二年生。霊媒体質。
吉田警部→現在定年前の現場たたき上げの刑事。
ここから、追加。
古賀巡査→まだまだ新米、頼りない刑事。
草加聡一:元県警本部長。吉田(現在定年前の刑事)の上司だった男。
宮尾和明→草加が殺人事件があったNを封印した別荘地を国に買い上げてもらうように依頼した男。神社の宮司。実はとある血筋の末裔。陰陽道の使い手。
N→実は正体は?
本当に、こんな結末でごめんなさい!(ジャンピング土下座をしています)
※1/15 時系列の矛盾がありましたので改稿しました。