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乳飲み子が眠っている。
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安らかな顔で、棺桶の中で、永遠に・・・
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朝、目を覚ますと僕の体が愛犬のジョンと入れ替わっていたんだけど、
僕になったジョンに遊んでもらおうと思って足元に駆け寄っていくと、
僕の顔をしたジョンが見たことのない笑顔で
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「よくも今までさんざんいじめてくれたね」
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「俺がモテないのも、金がなくて困っているのも、職がなくて万年自宅警備員なのも、
それもこれも全部アパレル業界に踊らされて、拝金主義に操られて、効率主義と人を使い捨てにすることしか考えないお前らが悪いんだから、
復讐を誓う者は正しいし、実行に移した俺は最も正義なんだ。敬え!」
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夜景が美しいと評判のホテルで、思い切って最上階の部屋を取って窓のカーテンを開くと、
今まさに上階から飛び降りてくる女とバッチリ目が合った。
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「なあ、さっきからあの電柱の影で、赤いコート着てでかいマスクつけて、
ハサミをちらつかせながら通りがかる子供に
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『わたしきれい?』
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って聞いて回っている女の人って、お前のかあちゃんだよな?」
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「今日はイキのいい魚が手に入ったよー!」
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という声に振り向くと、魚屋のオヤジが刺身包丁と血の滴る人間の腕を持って立っていた。
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「今日のおやつはパンプキンパイよー」
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という母親の声に冷蔵庫を開けてみると、中に女の生首が転がっていた。
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「今日のおやつはパンプキンパイよー」
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という母親の声に冷蔵庫を開けてみると、本当に只のパンプキンパイが入っていただけだったので、
むしゃくしゃして母親の頭で代用した。
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苦労して校舎の中に侵入して、
女子更衣室の天井裏に忍び込んで、
天井扇のスリットの隙間から中を覗いてみると、
中で誰か着替えをしていたので、ヒャッハーしながらビデオを回していると、先客のオヤジがセーラー服を盗んで着ていた所だったことが発覚したので、ムカついてヤっちゃったww
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せっかく旅行に来たのに、飛び込みで入った旅館はやたらとボロいし、
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女将は中々部屋を案内してくれないし、
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やっと着いた部屋は隙間風がヒューヒューするし、
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その風の出所はなぜか押入だし、
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開けてみると天井にびっしりお札が貼ってあった跡があるし、
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それが今では全部焼け焦げてるし、
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天井に一部隙間があるし、
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その隙間から人の濁った目が覗いているし、
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目が合った瞬間全身が動かなくなるし、
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ゆっくりと天井板が動いていくし、
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天井板の隙間から長い黒髪が垂れさがってくるし、
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青紫の腕も出てきたし、
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どうやら髪の長い女性のようだし、
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ついに全身が現れたし、
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女が俺の方に向かって這いずってくるし、
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目の前で立ち上がるし、
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無表情のまま俺の首に手をかけるし、
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ゾッとするほど冷たい手だし、
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凄い力で締めあげるし、
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俺の体が持ち上がるし、
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あがこうにも体はまだ動かないし、
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呼吸できないし、
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無茶苦茶苦しいし、
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目が充血してきたし、
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耳鳴りがすごいし、
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視界が赤く染まってくるし、
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舌が飛び出そうになるし、
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女がさらに強い力で首を締めあげてくるし、
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ブルブルブルと全身が痙攣を始めるし、
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shake
ゴキ、という音が首の骨から鳴るし、
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その瞬間体中から力が抜けていくし、
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糞ションベン垂れ流しになるし、
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眼から勝手に涙がこぼれてくるし、
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視界は全くの闇に落ちていくし、
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女の笑い声だけがかすかに遠くで聞こえた気がするし、
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やたら寒いし、
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やたら寒いし・・・・・・
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やたら寒いし・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・・苦しい、助けて。
作者修行者
こんな一行怪談を
ルール
・題名は入らない
・文章に句点は一つ
・詩ではなく物語である
・物語の中でも怪談に近い
・以上を踏まえた、一続きの文章である
『夢十夜(一行怪談)』(Glue様)
http://kowabana.jp/stories/28296
『一行怪談』(綿貫 一様)
http://kowabana.jp/stories/28315
『壱行怪談』(よもつひらさか様)
http://kowabana.jp/stories/28316
『壱行怪談』(ロビンⓂ様)
http://kowabana.jp/stories/28320