中編6
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ドッペルゲンガー【△】

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今日は、ある要件で月舟さんこと、つっきーを呼び出した。

英子とこめちゃんの共通の友人ではあったものの、そこまで彼女の人となりを知っているわけではなかったのだが、ちょっと気になる一件があり、呼び出した次第だ。

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「雪先輩~お久しぶりです~。」

少し間の抜けた声と共に現れた彼女は、いつも変わらずキューティクルたっぷりの黒髪をさらりと風に靡かせ、異様に長い前髪で目元はすっかり隠れてしまっており、どうも表情が読みにくい。

(そう云えば、うちはつっきーの素顔って見たこと無いかもせん。)

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「おお、つっきー。急に悪かったな。呼び出して。用事とか無かった?」

待ち合わせの喫茶店でコーヒーを飲んでいた私は、5分ほど遅れて登場した彼女に声を掛けた。

「全然平気ですよ~。講義抜けて来ちゃいましたけど、だーれも気付いていないでしょうし~。私、存在感が無いんですよ。ステルス!つっきー!」

えらく陽気に語ってはいるが、何故だろう…切ない。

そんなことはさておき、私は本題に入ることにした。

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「なあ、つっきー。アンタさ、最近N市にある有名な廃ビルあるやろ?あっこに出入りしてたりしてへんけ?うち、その廃ビルから家が近くてや。帰りにたまたまつっきーに似てる子を見かけたんよ。声掛けたんやけど、無言でそのビルの外付け非常階段を上っていったから、追いかけようか迷ったんやけど。勘違いやったらアレやし、一回確認しようかち思って。」

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私がそう話をしている間に、注文していたオレンジジュースを飲み切った彼女は一呼吸おいて、こう言った。

「その廃ビルは確かに知ってますけど…私は行ってませんねえ。」

「んー、やっぱりか。深夜やったし、おかしいとは思ったんやけどや、えらい似てたからよ。あんな時間に、あんな場所。危ないやろ?やけな…。」

「雪先輩。私の心配してくれたんですか?嬉しいです~♪」

上機嫌なんだろう。しかし、長い前髪でやはり表情は伺えない。

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そんな時、私の携帯が震えた。着信のようだ。

【____ちいちゃん】

私はつっきーに断って、通話ボタンを押した。

「もしもし?ちいちゃん?どないしたん?」

「雪ちゃん、あのね、こんな事雪ちゃんにいうのもおかしいなって思うんだけど…なんか、歩道橋で急に突き飛ばされて階段から転びそうになったの。すっごく怖くて…振り返ったら、長い髪の毛の女の人が一瞬見えて……。」

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ちいちゃんの声は些か震えているようだ。

「ちいちゃん、怪我は?」

「うん、平気。受け身とってなんとか。柔道かじってたから…」

(ちいちゃん、結構アグレッシブなのね。)

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電話の内容で、私の直感がなんとなく働いた。恐らく、私たちは同一人物に出くわしたようだ。

つっきーの方を見ると、いつの間に頼んだのか、特大のチョコレートパフェを幸せそうに頬張っていた。

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電話越しに恐怖体験を語るちいちゃんを宥め、私は電話を切った。

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「あ、電話大丈夫でした?」

「んー、まあいけるんやけど、なんとも…変な感じやな。」

そんな時、今度はつっきーの携帯が鳴り響く。

相手はこめちゃんからのようだ。

電話越し、少し距離があった私にも届くような大きな声。さぞ動揺しているのだろう。

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「月舟さん!!生きていますか!!??

さっき、月舟さんが道路に飛び込む瞬間を見ちゃって…でも、車が通り過ぎた後には何もなくて…英子はメキシコにケバブ食べに行ってて明日の昼まで帰って来ないし…。」

焦りで言葉を捲し立てるように紡ぐこめちゃんに対して、つっきーはあっけらかんと諭す。

つっきーの元気な声を聞いたためか、こめちゃんは安心も半分に電話を切った。

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「…雪先輩。」

電話を切った後、口元にチョコをつけたままのつっきーが心配そうに私を見る。

(空元気か。こめちゃんには心配掛けんように、気丈に振る舞ったんやな。)

「こりゃ、非現実的かもせんけど、ドッペルゲンガーってやつかね?妖怪の類は信用してない系女子なんやけど。まあ、メキシコから英子が帰ってきたら、ちょっと聞いてみるか。取り敢えず、今日はうちの家に泊まりに来ぃ。非力やけどな。」

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そんなやり取りがあった後、つっきーは私の家へ泊りに来ることになった。

「雪先輩の家って初めてです!…えーエロ本は…」

「それは、男友達同士で始まるイベントやろ。因みにうちのは普通に本棚にある。」

「…あ、持ってるんですね。」

「可愛い女子は大好物や。」

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夕食、お風呂を済ませ、早々に布団へ入る。

「先輩、ベッド借りちゃって良いんですか?」

「ええよ、うちは下で寝るけ。」

「良かったら、一緒に寝…」

「はよ寝り。」

「…はい。」

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深夜何時頃だろうか。

息苦しくて目が覚めた。

私の腹部に女性が座っている。

(つ、っきー…?)

左側のベッドへ視線を向けると、すやすやと寝入ってるつっきーが見える。

(ああ、こいつがみんなに目撃されてる奴か。)

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身体を動かそうにも、金縛りにあったかのように全く動かない。

(さて、どうしたものか…)

自身の危機を薄っすらと感じ始めたその時、私の上に乗っていたその女性が吹っ飛んだ。

(!!??)

金縛りも解け、思わず身体を起こすと、そこに立っていたのは息を荒げたつっきーだった。

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「つ、つっきー!!止めェ!!関わったらあかん!!」

そう静止するのも聞かず、つっきーはその女性に馬乗りになり胸倉を掴んだ。

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「お前、どういうつもりか知らないけどさ、良い度胸してるね。何?私のコピー?そっくりさん?貞子様の崇拝者…とか?なんにしても、コピーがオリジナルに勝てるわけねーだろ!!!」

その状況に呆気に取られた私は、一部始終を見ていることしか出来なかった。つっきーの怒号と共に、薄くなっていくその女性、恨めしそうな声をあげるでもなく、消えてしまった。

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「さあ、雪先輩寝ましょう?ただ、一人で寝るのは怖いので一緒に寝て下さい♪」

(怖い、だ?絶対嘘やろ。)

そう思いつつも、命の恩人(?)である。

その日は同じ床で朝を迎えた。

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「つっきー、おはよう。」

「んん…おはようございますぅう…」

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今日は2人とも何もないフリーの日である。

さて、何をして過ごすかな。

つっきーとお出かけ?いやいや、イメージ湧かんし。

そんな事を考えていると、つっきーから口を開いた。

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「昨日はびっくりしましたね。なんだったんでしょうね?まあ、なんにしても、取り敢えずはいなくなりましたし万々歳ですよね~♪私が、雪先輩を守って退治した訳ですし、ねえ先輩。お願いがあるんですけど~…」

(ああ、嫌な予感がする…)

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準備が出来た私たちは、町へ繰り出す。

クレープを食べながら、ウィンドウショッピングをしていた時、後ろから声が掛かった。

「つっきーじゃん。」…英子。

「あ、月舟さん。こんにちは。昨日は変な電話、ごめんなさい。」…こめちゃん。

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「あ~、奇遇ですね!!英子先輩はメキシコ満喫しましたか~?っていうか、お二人もデートですか?本当に仲良しですよね~。」

「お二人も?って事は、そっちの男性はつっきーのコレか?」

ニヤニヤしながら、英子が親指をグッと上げる。

「まあ、そんなところです♪ね?」

「…うん。」振り向いた私に、2人は口をあんぐりと開ける。

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最終ライブを見に来てくれた2人に、男装した私が分からない訳がない。

「ちょ、ゆっきー…何してんの?大丈夫?ケバブ食べる?」半笑いで茶化す英子を無視して、こめちゃんに軽く挨拶をし、つっきーの手を引いてその場をそそくさと立ち去った。

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色々説明するのは、また今度。

取り敢えず今は、この状況をいかに楽しむかに集中や。

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______。。。

「へえ、つっきー自分で解決しちゃったみたいだね。」

「あ、昨日英子に話した件ね。どうやって解決したんだろ…。」

「まあまあ、解決したらなら何よりじゃん。肉食い行こう!!」

「…昨日も食べたんだよね?本場で。」

「昨日は昨日。今日は今日!!」

______。。。

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腕を絡めるつっきーの横顔をふと見た。

向かい風でいつも隠れている前髪がふらりふわりと上がる。

「なあ、つっきーよ。何で今日はこの格好で遊ぼうって提案したん?」

「いや~、ライブの控室で見てから、ちょっとした夢だったんです~」

「ふーん。」

そう言って、つっきーの正面に立ち、彼女の前髪を手で搔き上げてみた。

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(やっぱ、綺麗な顔やんけ。)

「ちょ、先輩!!止めて下さいよ!!」

慌てて、私の手を払う。

「つっきー、たまに前髪をこうやって上げるんなら、うちも今後この格好でデートってやつ?してやってもええで。」

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うちとつっきーの仲が少しだけ、良くなった。そんなお話。

Concrete
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ゆか

つっきーはかっこよくてイケメンで面白いのよ!!

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吉井様

ストーキングwww

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初めまして。
何年も前からこのサイトは大好きで毎日みています。
雪さんの怖話、言葉で表すのは難しいのですが、、とても好きです。
自分自身も、しょうもない話を投稿しておりますので、気が向いたら読んでやってください。笑

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F様

この作品に登場したつっきーこと月舟様のイメージは、
同作品に登場したこめちゃんことろっこめ様が生み出したキャラクターです。
本当の月舟様はどうんな方かは分かりませんが、私の中の月舟様は、こんな風に勇ましく可愛らしく、そんな二面性を持つ方だと勝手に思っております(笑)

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吉井様

ええ、つっきーこと月舟様は、私の大好きな読者様兼友人です♡

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まー様

コメントありがとうございます!!
GWに出来なかった連投企画を遂行すべく、頑張りました…!!
しかし、もう力尽きてしまったので1週間は消えます←w

購読者様も現在99名なのですが、
退会会員様を抜くと88名なのです!!
どの段階でお祝い企画をしようか考え中ですね…

つっきー(月舟さま)のイメージは
こめちゃん(ろっこめさま)の創作作品の印象が強くて…www
本人様がどういった性格なのかは、謎に包まれております…ふふ。

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つっきー

初出演ありがとうね!!
書いててちょっと迷走したけど、楽しかった!!
また、登場して貰うからよろしくね♬

湯葉は京都よ!!!
ああああ、食べたくなってきた…
うん、明日休みやし行こう(唐突←

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