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最近、とても妙な夢を見ます。
ある山奥のトンネルの前でうずくまっている女性がいるのです。
その女性は、人外であることには変わりないのですが、何故か私はその女性に対して【恐怖】のような感情は全くなく、夢の中の私は彼女に話しかけるのです。
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「こんにちは。」
女性は伏せていた顔を上げました。
少しドキッとしてしまうほどに整ったお顔。
その女性は悲しそうに眉尻を下げて、
「こんにちは。」と挨拶を返します。
『笑ったら、もっともっと綺麗なのに…。』
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夢は、女性に声を掛けたところから、毎晩毎晩進んで行きます。
「あなたは誰?」
「…分からないんです。何で此処に居るのかも。何も思い出せないんです。」
「名前も、憶えてないん?」
「…はい。」
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次の日、また夢を見ます。
「こんにちは。お姉さん。」
「こんにちは、雪ちゃん。」
名前の知らないその女性を、私は【お姉さん】と呼ぶことにしました。
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続く夢の中で、私はそのお姉さんとたくさんの話をしました。
「生まれた場所は沖縄なんだ。」
「沖縄か、ええとこよね?」
「…私ね、雪ちゃんに会った事があるような気がする。」
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実は、私もそんな気がしていました。
どこであったのか、覚えていないし、正直、顔だって見たこともありません。
なのに、初めて会った気がしない…この感じは一体なんなのか…
そんな夢を見続けたある日のこと。
仕事中に緊急入院のコールが鳴りました。
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______。。。
20代後半、女性。
山道でドライブ中に運転を誤って、ガードレールに衝突。
そのショックにより、現在も意識不明。
______。。。
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『うちと同じくらいの歳や。』
その女性の担当看護師として抜擢されたのは、私でした。
「よろしくね?家族さんも結構ナイーブになっているから、気をつけて。」
そう先輩ナースに念を押され、その患者の部屋へ挨拶をしにいくことに。
病室へ入った途端、脳内に夢の内容がフラッシュバックしました。
ベッドへ横たわっている彼女は、まさに、毎晩夢で会う、あのお姉さんだったのです。
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「こんにちは。」
親族の方でしょうか。
悲しみで溢れる涙をハンカチで拭っています。
「初めまして。今日から、担当させて頂きます、看護師の雪と申します。」
「この子の事、よろしくお願いします。」
そう深々と頭を下げたその方は、その後、堪えきれなくなったのか、早々に病室を出て行ってしまいました。
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私は1人になった病室で、横たわるお姉さんに近付きます。
「…お姉さん、名前、こんな風にいうんや。」
何とも言えない気持ちになった私は、苦虫を噛み潰したような気持ちに侵されました。
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その晩の夢。
お姉さんがいます。
「…お姉さん。」
そう言って近づいた私に、お姉さんは言います。
「雪ちゃん、びっくりしたね。凄い偶然。…でも、私はじきに死ぬんだね。」
その言葉に、私は唇を噛む事しか出来ませんでした。
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「うち、お姉さんの名前分かった。
でも、今は言わん。お姉さんの目が覚めた時。そん時に呼ぶけ。」
そう告げると、お姉さんは今までで一番幸せそうな顔をして言ったのです。
「ありがとう。待ってる。」
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それから数週間。お姉さんの夢を見ることは無くなってしまいました。
容体の方も悪くすらなっていないが、目覚める兆しもなさそうです。
それでも奇跡を信じて、私は精一杯、お姉さんに話しかけました。
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「今日は、良い天気やで。」
「昨日、家で嫌いなピーマンが出たんよ。」
「お姉さんは食べ物、何が好き?」
「沖縄って素敵な場所なんかね?」
決して返ってくるはずのない返答。
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『うちに出来ることなんて、もう…何もない。』
半ば諦めかけていた、そんな私の夜勤宿直の日。
いつもはバタバタと忙しい病棟内も、今日は珍しく、静まり返っています。
『今の間に、仮眠でも取ろう。』
私は、空きベッドへ身体を預け、深い眠りに落ちました。
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その日の夢___。
「お姉さん!!」
久々の再会に私は、お姉さんの元へ駆け寄りました。
「雪ちゃん、こんばんは。いつも私に優しくしてくれてありがとう。」
「そんなの良いんよ。仕事のひとつなんやし!」
「ふふふ♪」
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冗談交じりに他愛ない会話をしていた時、ふいにお姉さんが立ち上がります。
「さて、行こうかな。」
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私は、胸の内がざわつきます。
『行く…?』
「行くって、どこに行くん?なあ…お姉さん!!」
「私ね、もう此処で雪ちゃんに会う事は出来ないの。」
「何で!!嫌や!!」
「今までありがとう。寂しい山奥で一人で…雪ちゃんが友達になってくれて、本当に良かった。」
「お姉さん!!嫌や!!待って!!」
歩き出すお姉さんの背中を追いかけている途中で、私は目が覚めました。
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跳ねるようにベッドから飛び起き、お姉さんの元へ走ります。
深夜なのに、人の目もはばからず、お姉さんに縋り付き、喚きます。
「お姉さん、お姉さん、お姉さん!!!嫌や!!嫌や!!」
そんな私の手を誰かが握る感触を感じました。
驚いて顔を上げた私の目の前に広がったのは、いつもの笑顔で私を見るお姉さんの姿。
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「これからは、こっちで、ずっと会えるからね。雪ちゃん。」
放心状態の私にお姉さんは続けます。
「ほら、雪ちゃん。約束。私が起きたら、私の名前で呼んでくれるんでしょう?」
「うん…!!これからもずっと一緒やからな!!ちいちゃん!!」
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私にかけがえのない友人が出来ました。
彼女の名前は【ちいちゃん】。
これからも、ずっと一緒にたくさん楽しい事をしようね。
そんな約束をして、私たちは明け方まで、子供みたいにワンワンと泣き尽くしたのでした。
作者雪-2
今回は題名の通り、サプライズ出演をして頂きました。
私の読者様、かつ友人の【ちっちっち♪様→ちいちゃん】です。
最近、ちいちゃんにおめでたい事があったので、祝福の意味を込めてサプライズ出演して貰いました!!
この場を借りて…
ちいちゃんおめでとーーーっ(*'▽')!!
↓4月投稿高評価作品↓
【死臭】怖28
http://kowabana.jp/stories/28558
【沖縄】怖33
http://kowabana.jp/stories/28568
【叫び声】怖31
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↓1月に高評価を頂けた処女作品↓
【やってしまった】怖40
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↓2月月間ランキング3位受理作品↓
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↓3月月間ランキング3位受理作品↓
【洞窟探検】 怖39
http://kowabana.jp/stories/28340
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。