wallpaper:265
和歌山の某所。ある崖に訪れた時の話です。
そこは、有名な観光スポットと同時に、有名な自殺スポットでもありました。
行くのは少し憚れたのですが、友人がそこへ切に行きたがるので泣く泣く同意し、車を走らせることになったのでした。
私を含め、4人を乗せた車で向かった目的地は、2時間足らずで見えてきました。
nextpage
『ああ…気が重い。』
車を駐車している最中もそう感じてはいたのですが…
眼前に広がる青い海。白く爽快感溢れる空。黄色く輝いた太陽。吹き抜けるそよ風。
友人3人と、悠然に広がる自然の美しさにテンションが上がりまくっていました。
nextpage
その崖は島に沿って何キロにも渡りそびえ立っており、端まで行って戻ってくるだけでも相当の距離でした。私たちはなるべく安全な道を進みながら、その崖を散歩することにしました。
岩がゴツゴツとしていたため、歩く際は足元を見ながらでないと転んでしまう。
私たちは、視界を下ろしつつゆっくりと歩いていきました。
nextpage
10分ほど経った頃_____
一緒に歩いていたと思っていたC美の姿がありません。
辺りを見渡すと、C美は崖の先端へ向かって歩いていました。
「危ないで!!」「どこ行くねんな!!」
そう声を掛ける友人たちをよそに、私はC美の元へ走り出しました。
nextpage
C美の背中におぶさるようにしがみついている女性の姿。
びっしょりと濡れたその女性からは明らかに善くない雰囲気が漂っていました。
『このままだと連れて行かれる。』
私はC美の手首を掴みました。
nextpage
C美の背中に張り付く女性が私を見ます。
«邪魔するなあああああああああああああああああ。»
「うるさいわアホ!!!」
その瞬間、C美は膝から地面へ崩れました。
友人たちも遅れて駆けつけます。
C美はほんの数秒で正気を取り戻したのか、私に向かって言いました。
nextpage
「アホって何。急に。」
nextpage
あの場所は、紛れもなく自殺の名所でした。
今でも成仏できないでいる霊たちが、自分たちの世界へ引きずり込もうと息を潜めているのでしょう。C美の手首を掴んだ時、崖の先端から伸びる無数の手を見た時は、
霊を見慣れている私も卒倒するかと思いました。
nextpage
ですが、霊に対して罵声を浴びせたのは後にも先にも、この一件だけだと思いたいです。
作者雪-2
16話目の話になります。
今回は、ビビりの私が≪頑張った話≫です。
昨日と同様に怖くはないので、怖ポチはあくまでこのお話の「評価」としてポチって頂ければ嬉しく思います。
↓2月高評価を頂けました作品達です↓
【赤ちゃん】
http://kowabana.jp/stories/28114
【お嬢ちゃん、遊ぼう】
http://kowabana.jp/stories/28146
【のろす】
http://kowabana.jp/stories/28156
【輪廻転生】
http://kowabana.jp/stories/28201
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。
素敵な読者様、かつお友達のろっこめ様が私のキャラを作品内に登場させてくれました!
感謝が降り注ぎます。嬉しさに震えます。僭越ながら、リンクを貼らせて頂きます。
本当にありがとうございます(*'▽')☆
【勧善懲悪】
http://kowabana.jp/stories/28186