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これは私が看護学生の頃、夏休みを利用して1泊2日の和歌山旅行に行った際の出来事です。
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8月上旬。
暑さもピークを迎え、青春の思い出の一ページを彩るために、私たちは都会では味わえない自然の海を満喫するため、白い浜辺で有名な白浜へと足を踏み入れたのでした。
今回の旅の目的は、何といっても海です。夜は浜辺で花火を楽しみます。
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白浜に到着したのは日がてっぺんに上り、一番気温が高いとされる14時頃。一刻も早く海で泳ぎたいと私服を脱ぎ捨てました。勿論、水着は中に着こんでいる用意周到ぶりです。他の観光客もごった返すようにいましたが、海は広くて大きい。十分に3人ではしゃぎまくり、旅館へチェックインする前に1時間半程、白浜の海を堪能しました。
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「一回ホテルに荷物置きに行こうか。チェックインもせな。」
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私たちが泊まる旅館は浜辺から目と鼻の先の場所にあり、徒歩1分で着く距離です。
軽くシャワーを浴び、水着のままで旅館へ。そのままの姿でもチェックインが出来てしまうところは、やっぱり海を売りにしている旅館ならではなのでしょうか。
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部屋に荷物を置き、再び海へ繰り出します。ビーチバレーをしたり、友人を埋めてみたり、白浜の海を存分に満喫したころには、もう水平線上に日が沈みかけており、たくさんいた観光客もちらほらとしかいなくなっていました。
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「綺麗やなあ。」
「ホンマやなあ。」
「青春やなあ。」
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浜辺で腰を下ろして、沈む夕日に魅入っていた時、足元に小さな浮き輪が転がってきました。
ふと視線を上げると、4歳くらいの男の子が立っています。
浮き輪をその子に渡しながら、友人が声を掛けました。
「こんにちは。僕も遊びに来たの?」
男の子はニコニコと笑い掛けます。
「お母さんとお父さんは?一人?迷子?」
男の子は少し俯いた後、私たちに笑みを向け
「お母さんは今、ちょっといないから待ってるんだ。お姉ちゃんたち、一緒に遊ぼう?」
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私はその男の子を見た瞬間に、この世のものでは無い。と分かりました。
しかし、決して害があるようには見えず、友人とその少年のやり取りを見守っていました。
浜辺で砂のお城を作ったり、浅瀬でカニを捕まえたりと時間的には30分程経ったでしょうか。
2m程先に女性の姿が見えました。
「なあ、お母さん来たで。」
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そう告げると、その少年はパッと立ち上がり「お姉ちゃん、ありがとう。また遊んでね?」そう言って、母親の元へ走って行きました。我が子の手を握った母親は私たちに向かってゆっくりと会釈をし、そのままスッと姿を消しました。
「…え?消え、た…?」
「……!?」
友人たちは驚きに目を丸くします。半分パニックです。そりゃそうだ。
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「もう夕飯の時間やし、旅館戻ろうか。」
「ちょ、雪待って。アンタ何、気付いてたん?説明してよ。」
説明?出来るわけありません。
私は霊が見えても、決して霊能者ではありませんから。ただ一つ思ったことは、あの親子が霊ではなくて神様に近い存在だったのでは無いか、ということです。
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この旅行の後、友人のうち1人に念願だった恋人が出来ました。
高校の3年間片思いをしていた幼馴染からの告白がきっかけだったそうです。
もう1人の友人は、何と宝くじが当選。金額は伏せます。(忘れただけ)
私はというと、可愛い可愛い弟が出来ました。溺愛ものです。
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私たちに訪れた幸福は、あの親子がもたらしてくれたものなのではないか…
なんて今でも思ってしまうのでした。
作者雪-2
おはようございます。
朝っぱらから投稿した作品は、私にとっては心温まるモノでした。
因果関係があったにしろ、なかったにしろ
私にとっては良い思い出として残っています。
この話を通じて、皆さまにも何かしらの幸せが訪れますよに…
※実体験です。
↓1月に高評価を頂けた処女作品です↓
【やってしまった】怖39
http://kowabana.jp/stories/27969
↓2月月間ランキング3位受理作品です↓
【赤ちゃん】 怖39
http://kowabana.jp/stories/28114
↓3月投稿した作品は下記より↓
【ファン②】 怖21
http://kowabana.jp/stories/28299
【洞窟探検】 怖25
http://kowabana.jp/stories/28340
【校内放送】 怖19
http://kowabana.jp/stories/28348
【髪の毛】怖24
http://kowabana.jp/stories/28363
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。