wallpaper:903
これは、私がとあるマンションに住んでいた時の話です。
私の話を読んだことがある方は、そのマンションが何かと曰く付きのあるマンションであるとご存知だと思います。
nextpage
当時、私は同じマンションに住んでいるA子ちゃんという仲の良い友達が居ました。
その子とは、小学校は違ったのですが、たまたま公園で仲良くなったのがきっかけで、よく遊ぶようになったのです。そんなA子ちゃんの家に遊びに行った際、起こった出来事です。
nextpage
A子ちゃんの家はそのマンションの15階にありました。
初めて遊びに行くので、母親に持たせて貰った菓子折りを手に、A子ちゃんの家のインターホンを鳴らします。
nextpage
「はい?」
「A子ちゃん、遊びに来たよ。雪。」
扉が開くと、出迎えてくれたのはA子ちゃんとお母さんでした。
nextpage
「こんにちは。」
「雪ちゃん、こんにちは。遊びに来てくれてありがとう。」
お母さんに菓子折りを渡して、お邪魔します。と家へ上がらせて貰いました。
A子ちゃんは兄弟が居たので、自分用の部屋が無く、私たちはリビングで遊んでいました。
nextpage
当時流行っていたマリ〇パーティをして盛り上がっていた時、一瞬でしたがテレビに微かな砂嵐が走りました。ゲームのコード接触不良だろうと、特に気にせず続けていると、砂嵐が走る感覚が短くなっていきます。
nextpage
「なあ、A子ちゃん。接触不良かね?」
「え?何が?」
「画面やん。めっちゃぶれる。」
「何のこと?」
nextpage
どうやら、A子ちゃんはその接触不良に気が付いていない様子でした。
気が付いていない。というのもおかしいくらいに走る砂嵐。
私は少し不気味に思い、A子ちゃんの母親に声を掛けました。
nextpage
「おばちゃん、テレビがぶれてるんですけど、分かりますよね?」
「え?ぶれてる?…んー、そうかな?」
「雪ちゃん、何言ってるん?ぶれてへんよ?」
どうやら、その砂嵐は私にしか見えていないようでした。
そんなやり取りの間にも、砂嵐が酷くなり、ついに画面が正常に見えなくなってしまいました。
nextpage
「雪ちゃん、次は雪ちゃんの番やで!!」
そうは言われても、画面に映っているのはただの砂嵐です。
「えっと…ちょっと待ってて。トイレ行ってくる。」
そう言って私はその場を離れました。
トイレにこもった私は、頭を抱えます。
nextpage
『何や。何やアレ。うちにしか見えんのか。A子ちゃん等がおかしいんか?いやいや、うちが多分おかしいんや。あー、また霊的な感じか。どないしよ。』
そんなこんな考えているうちに、トイレの扉がノックされました。
A子ちゃんのお母さんです。
「雪ちゃん、どうしたん?気分悪いん?大丈夫?」
何分トイレにこもっていたのでしょう。心配して様子を見に来てくれたようです。
nextpage
「あ、大丈夫です。」
トイレから出て、お母さんにそう笑顔で伝え、リビングで待つA子ちゃんの元へ。
「雪ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。ごめん、ありがと。」
テレビの砂嵐は綺麗に消え、軽快な音楽とゲームの画面が映っています。
nextpage
『消えた。何やったんや。』
ソファーへ腰を下ろし、コントローラーを握った時、急に周りの音が消えました。
無音。
何の音も聞こえません。
周りを見渡しても、そこには誰の姿も無く、私一人です。
nextpage
『…え?』
テレビに目を向けると、砂嵐が映っていました。
私はその砂嵐を凝視します。
すると、その砂嵐がだんだんと女性の顔のように見えてきました。
瞬きも忘れ、画面を見つめ続けていると、左側にあるベランダから音が聞こえます。
nextpage
_____ドンッ。
_____ドンッ。
_____ドンッ。
nextpage
私は、ベランダの方へ視線を移しました。
_____ドンッ。_____ドンッ。
ベランダの手すりにぶつかる女性の姿が視えたのです。
上から落ちて、手すりにぶつかる瞬間に鳴る、衝撃音。
背中しか見えなかったその女性は落ちる度に、身体の向きが少しずつ回っていき、だんだんとその顔をこちらに向けていっているのが分かりました。
nextpage
『怖い。見たくない。』
そう思ったのは、次に女性が落ちる時には完全に顔が正面を向き、目が合ってしまうと悟ったからです。
『___________。。。』
nextpage
「雪ちゃん、みーっけ!!!」
「!!!!????」
ビクッと身体を跳ねさせた私は、急に聞こえたその声に視線を向けました。
A子ちゃんです。
「雪ちゃんやっと見つけた!!」
私はマンションの植え込みの陰にいました。
nextpage
「は?あれ?今日ってA子ちゃんの家に…あれ?ゲームは?え?」
その状況を飲み込めない私はA子ちゃんに問いかけます。
「ゲーム?うちの家に遊びに来るんは明日やろ?」
nextpage
私は、予知夢を見ていたのでしょうか。
昼に見る夢は、白昼夢とも言いますね。
その一件があってから、私は理由をつけてA子ちゃんの家に行くのを避け続けました。
行ってしまったら、今度はきっとあの女性と目があってしまうような、そんな気がしたからです。
作者雪-2
連投企画4日目です。
毎度おなじみの、心霊マンションよりお送り致します。
あはは~ストックが消えていく~消えて行く~(白目)
※実体験です。
↓5月投稿作品は以下より↓
【不可解な死】怖24
http://kowabana.jp/stories/28773
【家族】怖17
http://kowabana.jp/stories/28853
【気付かないふり】怖13
http://kowabana.jp/stories/28865
【トラウマ】怖13
http://kowabana.jp/stories/28882
↓このマンションが舞台の他の話↓
【自殺の名所】怖29
http://kowabana.jp/stories/28004
【不審死】怖21
http://kowabana.jp/stories/28012
【お嬢ちゃん、遊ぼう】怖38
http://kowabana.jp/stories/28146
↓4月月間ランキング1位受理作品↓
【叫び声】41
http://kowabana.jp/stories/28591
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。