wallpaper:265
これは、私が高校2年生の時に実際に体験した話です。
当初、私の通う高校は家から離れており、電車と自転車を使って約1時間半の道のりを通学していました。その長い通学時間を苦に感じることは無かったのですが、ある日を境に物好きなストーカーが私を付け狙うようになったのです。
nextpage
曜日などは不定期で時間もバラバラだったので、回避のしようもなく、毎日のように後をつけられていたわけでは無かったので、半ば無視するような形でいたのですが、そんな生活も3ヵ月ほど経ち、流石に気味が悪くなった私は、父に相談することにしました。
nextpage
私の父は何というか…まあ典型的な親バカというやつでして、娘大好きパパの代名詞が良く似合う頑固親父でした。相談を持ち掛けると、案の定…それはそれはもう大激昂でした。最寄りの駅まで毎日車でお出迎えをするようになったのです。ストーカーも変な空気を第六感的に察知したのか、1ヵ月ほど姿を現すことは無くなっていました。
nextpage
父の尊さを肌身に感じていた矢先、ある事件が起こったのです。
それは父がインフルエンザにかかってしまい、駅まで迎えに来れない日が1週間ほど続いたある日のこと。いつものように最寄駅から家まで帰宅する途中。
nextpage
あの男がいたのです。
私はゾッとしました。
『このタイミングで?ってことはいつも父がいるかいないか、確認してたって事か?』
人の執着の恐ろしさを痛感し、私は早足で自宅への道を歩いていました。
nextpage
『着いて来てる。一定の距離を保って、確実に来てる。
間違いなくあの男や。黒いキャップにいつも持ってる茶色の紙袋。
ヤバいヤバい。気持ち悪い。アレ?殺されるかもしれんやつ?
幽霊より怖いってマジで。』
nextpage
そんな事を思いつつ、陸上部で鍛えた脚力で途中から全力疾走し、自宅へ飛び込みました。
リビングの窓からそっと外の様子を伺うと…
__います。電柱の陰にあの男が。ひっそりと立ってこちらを見ています。
nextpage
家族にまで危害が及ぶのではないか。
そう思った私は、母に一連の話を告げました。
すると母はそれをインフルエンザで寝込んでいる父に伝えたのです。
寝室の扉が勢いよく開いたかと思うと、マスクを二重に着用し、明らかに顔色の悪い父が鬼のような形相で外へ飛び出していきました。
nextpage
『えええええ!??今行く!?無理無理。勝てんて!!!』
そう心の中で思いつつ、いつでも加勢できるようにと窓から様子を見ていたのですが、父はすごい剣幕で、その男に詰め寄ります。何を話していたかまでは聞こえなかったのですが、男は深々と頭を下げると逃げるようにその場から立ち去りました。
nextpage
帰って来た父に安否の確認をします。
「大丈夫や。問題ない。もう絶対あいつはお前をつけまわしたりせんでな。いける。」
…うちはアンタの病状のが心配さ。
nextpage
父の言った通り、それを機に男が私を付け回すことはありませんでした。父が何を言ったのかは定かではありませんが、幽霊よりも人間の方が、怖いと時に感じるものですね。
nextpage
そう云えば、今回の事で父から言われた一言によって私は永遠の謎に捕らわれることになるのですが、男を追い払い、家へと戻った父が私に言いました。
「あいつ、紙袋持ってたやろ?中身な…タンバリンやってん。何でやと思う?」
『いや…知らんがな…。』
作者雪-2
今回はヒトコワの作品を投稿させて頂きました。
17話目になります。
※実体験です。
ファザコンの私がもっと深刻なファザコンになってしまった。
という結果で、お後が宜しいようで…なんて。
↓2月高評価を頂けました作品達です↓
【赤ちゃん】
http://kowabana.jp/stories/28114
【お嬢ちゃん、遊ぼう】
http://kowabana.jp/stories/28146
【のろす】
http://kowabana.jp/stories/28156
【輪廻転生】
http://kowabana.jp/stories/28201
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。
素敵な読者様、カツオ友達のろっこめ様が私のキャラを作品内に登場させてくれました!
感謝が降り注ぎます。嬉しさに震えます。僭越ながら、リンクを貼らせて頂きます。
本当にありがとうございます(*'▽')☆
【勧善懲悪】
http://kowabana.jp/stories/28186
【呪い返し】
http://kowabana.jp/stories/28205