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これは私が小学校5年生の頃、家族で川へキャンプに訪れた時の話です。
私たち家族はとても仲が良く、毎年のようにキャンプへ行っていました。場所は毎回違っていたのですが、あの時に訪れたその場所で、あんなに恐ろしい体験をすることになるとは、その時は思ってもみませんでした。
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その川はn県の上流にある川で、そこそこ有名なキャンプスポットでした。
到着した時には、私たち以外にも二家族がテントを張っており、子供たちは川の浅瀬での遊びを楽しんでいました。
私の父は、晩御飯の準備を母と協力して行っており、私は川での遊泳を楽しんでいました。
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すると、川の浅瀬で遊んでいた2人の子供が私に声を掛けて来ました。
「こんにちは。」
「一緒に遊ぼうよ。」
コミュニケーション能力が長けているのか、人見知り皆無の私は二つ返事でOKをし、その子達と川で遊ぶことになりました。
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魚を捕ろうと目論んだり、石投げをしたり、岩からの飛び込みをしたりと、川遊びを堪能していた時、急に川の流れが早くなったことに気付きました。何年も川遊びをしていると、そういった小さな変化にも気付けるようになるのです。私は2人の子供に対して言いました。
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「川の流れが早いから、浅瀬で遊ぼう。」
しかし、その子達は言います。
「大丈夫だよ、これくらい。」
「僕ら、この辺りに住んでるから分かるんだよ。これくらい平気。」
その言葉に一片の不信感も抱かなかった私は、既にその子達の罠に嵌っていたのでしょう。
川の流れは緩やかに速度を増し、深さも増して来ます。
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急に恐怖心を覚えた私は、浅瀬に上がろうと歩みを進めますが、苔のぬかるみに足を取られ、なかなか岸へたどり着きません。そんな私の様子をクスクス笑いながら見ているその子達に半ば怒りを覚えた私は、文句を言ってやろうと振り向きました。
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その時です。急に川底の方へ足を引かれる感覚がありました。
『…………!!??』
そうなったら一瞬です。
水の中へ引き込まれた私が見たのは、あの2人の子供です。
ニヤニヤと笑いながら、私の足を掴んで離そうとしません。
『死ぬ…!!』
そう思った時、私の腕を引き上げる大きな力が働きました。
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急き込みながら見ると、其処に居たのは母でした。
「アンタ何してんの。危ないやろ。一人で。」
「…今、足引っ張られたんや…」
「分かってる。はよ上がっておいで。ご飯やで。」
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母は、一部始終を把握していたようです。
岸へ上がり、息を整えていると、ある違和感に気付きました。
無いのです。
私たちの他にも張ってあったテントが無くなっています。
「お母さん…」
「分かってる。ほら、はよカレー食べ。」
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川辺では色々な水難事故が多発します。
私が見たものも、この川辺で亡くなった人だったのでしょうか。
遊び相手が欲しくて、私を引き込もうとしたのでしょうか。
それにしても、母の「分かってる。」という言葉が何故か一番恐ろしいと感じたのは、母の霊感の強さを、実感した。ある意味で、悟った瞬間だったからだと思います。
作者雪-2
今回のお話は、母の偉大さというか怖さというか…
そんな事に気付かされたお話です。
それにしても、これから夏に向けて水辺で遊んだり交流する機会が多くなると思います。
(言ってもまだまだですが)
水辺では、皆さま十分にお気を付けください。
※実体験です。
↓1月に高評価を頂けた処女作品です↓
【やってしまった】怖40
http://kowabana.jp/stories/27969
↓2月月間ランキング3位受理作品です↓
【赤ちゃん】 怖40
http://kowabana.jp/stories/28114
↓3月投稿した作品は下記より↓
【ファン②】 怖22
http://kowabana.jp/stories/28299
【洞窟探検】 怖30
http://kowabana.jp/stories/28340
【校内放送】 怖21
http://kowabana.jp/stories/28348
【髪の毛】怖28
http://kowabana.jp/stories/28363
【浜辺】怖19
http://kowabana.jp/stories/28374
【見えない】怖18
http://kowabana.jp/stories/28384
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。