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私は昔、某V系バンドのボーカリストをしていました。活動していたのは約3年程でしたが、V系バンドのファンというのは、少しクレイジーな方も多く(少々偏見も入っています。気分を害された方がいらっしゃいましたら、この場を借りて謝罪させて頂きます。)私を含め、バンドメンバーが被害にあったケースも少なくはありませんでした。
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バンドはオリジナル曲からカバー曲まで幅広くさせて頂いており、ありがたいことに、そこそこ有名なバンドにまでのし上がらせて頂きました。ファンの人数も当初数名だったのが気付けば数十名、百数十名…と増えていきました。
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演奏終了後、所謂【出待ち】というものがあり、メンバーがライブ会場から出た瞬間を狙って、手紙やプレゼントなどをファンの子達から頂く、恒例の【イベント終わりイベント】で起こった戦慄の出来事です。
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その日もライブを終え、外に出ると出待ちファンの猛アタックが。
「お疲れ様です!」
「いつも応援してます!」
「大好きです。ありがとうございます。幸せです。」
口調でも分かる通りですが、ファン層はほぼ女性。
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「みんなありがとうな。寒かったやろ?風邪引いたらあかんけ、はよ家帰るんやで。家に着いて、その派手派手しい化粧を落として、汗っぽい身体を洗うとこまでがライブやからな!!」
そんなことを言いつつ、ファンの子から渡されるプレゼントを一つずつ受け取りながら、車へ乗り込み当時、リーダー兼ドラムを担当していたアキラ(仮名)の家へ。
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家に着くなりお疲れ会とともに、貰ったプレゼントを開けていく、各自のお楽しみタイムが始まります。
私もファンの子から貰ったプレゼントを一つずつ開封していきました。
ブランド物の香水やらバッグ。手紙。花束。似顔絵付きの色紙。そして、手作りのお菓子。
甘党の私は、この手作りお菓子が大好きで、いつも1人でパクパク平らげます。
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その日もいつものように包みをあけ、同封された手紙を読み、蓋を開けました。中身は6つの仕切りの中に入ったトリュフです。
「おいしそー。」
そう云って、一口頬張ります。
「うん、美味しい。お菓子作り出来る女子ってええなあ。かわええなあ。」
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もぐもぐもぐ…じゃり、もぐ、じゃり…
噛んでる途中になにか固くてざらついたものを噛んでいるような食感がしました。
「ん?なんや?」
小骨を出すように、その正体を確かめるべく口内から出すと、何やら黒い糸。
糸…?糸……………!!??
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その瞬間、トリュフをいれていた箱を掴み、中身をひっくり返しました。トリュフが中で動かないように底へ敷き詰めてあったパステルカラーのくしゅくしゅした紙と一緒に床へ散乱したのは5mm程に刻まれていた大量の黒い髪の毛。
その場にいたメンバー全員が絶句しました。
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それ以来、手作りの贈り物は衛生上受け取れない。という規約を作ったのですが、やはりこっそり紛らせて渡して来るファンの子は多かったです。申し訳ないとは思いましたが、それ以来ファンの子が作って来たお菓子を食べることは出来なくなりました。
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ホワイトチョコにマーブル調に練り込んである赤い模様。
生チョコからチクチクとはみ出ている毛髪。
シュークリームのカスタードの中に混入していた生爪。
クッキーを割ったら出て来た小さな裁縫針。
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今はもう活動はしていませんが、今でも2/14になると実家のポストに宛名・差出人を記載していないバレンタインの贈り物が4,5つ投函されています。
作者雪-2
今回もヒトコワで投稿させて頂きました。
霊だけでなく、ヒトコワ体験談も多い私はそういう星の元に生まれて来たのでしょうか。
バンド時代のヒトコワ経験は割かし多いので、今後も投稿していければ…と思います。
※実体験です。
↓2月高評価を頂けました作品達です↓
【赤ちゃん】
http://kowabana.jp/stories/28114
【お嬢ちゃん、遊ぼう】
http://kowabana.jp/stories/28146
【のろす】
http://kowabana.jp/stories/28156
【違和感】
http://kowabana.jp/stories/28071
【輪廻転生】
http://kowabana.jp/stories/28201
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。
素敵な読者様、カツオ友達のろっこめ様が私のキャラを作品内に登場させてくれました!
感謝が降り注ぎます。嬉しさに震えます。僭越ながら、リンクを貼らせて頂きます。
本当にありがとうございます(*'▽')☆
【勧善懲悪】
http://kowabana.jp/stories/28186
【呪い返し】
http://kowabana.jp/stories/28205