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中編5
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不審音【Δ】

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私は今日、大学の友人達と飲みに行くことになった。

さて、と。今日招集を掛けたのは、なんとまあ珍しい事にA子、もとい、英子だ。

どうやら、心霊問題を解決した報酬に貰った焼肉食べ放題のタダ券の期限が今日までだったらしい。

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『うちはどっちかってーと魚派なんやけど…まあ、暇やしええわ。』

そんなテンションで指定された待ち合わせ場所へ行くと、既にメンバーは揃っているようだった。肉屋を前に興奮MAXの英子を窘めているのは、英子のお世話役のこめちゃん。正直、英子を飼いならせるのはこの子だけなような気がする。

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「おまたせー。」

そう声を掛けた私に対して、英子が噛み付く。

「ちょっと、ゆっきー!!遅い!!肉が無くなったらどうするの!?死活問題!!」

『なくならねーよ。肉屋なめんな。』

「雪さん、お久しぶりです。」

「アンタ、【さん付け】とか固い固い。アタシみたいに【ゆっきー】って呼びな。そしたらアタシとゆっきーみたいにマブダチになれる。ね?ゆっきー!」

取り敢えず愛想笑いと、鳩尾に一発喰らわせる。

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きゃっきゃとプチ騒ぎをしながら、目的の焼き肉屋へようやく入ることになった。

「カルビーカルビーカルビール!!」

最早、こめちゃんは羞恥心から一刻も早くここを抜け出したそうだ。

「こめちゃん、何食べる?ほら、選びんさい。」

そう言ってこめちゃんにメニュー表を手渡す。

「あ、私は…えっと…砂肝を…」

『え?意外と渋いとこいくやん。アレ?もっとこう…サラダ系とかいくかと思ったんやけど?』

そんなこんなで、楽しい焼肉会は始まりを迎えた。

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_______。。。

「いやー食った食った♬」

「英子よぉ…店の肉を死活問題にさせたんはアンタやんけや。」

「あの程度で死活問題とか、この店の仕入れに問題があるね。」

『この野郎…。』こめちゃんとうちのシンパシーが共鳴した気がする。

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「さてと、いきますか♬」

「行くってどこに?」

心配そうに、また、案外予想通りの展開かと落胆するようにこめちゃんが聞く。

「そりゃあ、ね?ゆっきー♬」

「ああ、あっこけ?でも、こめちゃん怖がりなんやし、今日は止めとこうや。もう深夜も回ってるから危ないって。」

「大丈夫大丈夫。天下の英子様がいるんだから、ノープログレム!!」

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色白のこめちゃんの顔が一層青ざめている。

「こめちゃん、大丈夫け?」

こめちゃんの肩に手を添え、問いかける。

「だ、大丈夫です。はい。あの、ええ、慣れてますから、はい。」

動揺が半端ねえ。絶対大丈夫ちゃうやつ。

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そんな私たちの一連のやり取りもフル無視で英子は言う。

「ゆっきー運転よろしく~。」

「…はいはい。」

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私の運転で向かったのは、海辺の傍にある洞窟。

実は、英子と私はこの洞窟で夜な夜な起こる不審音の調査を頼まれていたのだ。

といっても、私自身は視えるだけで、祓う力なんかは無く、その辺は全部英子にまかせっきりな部分もあるが、1人より2人。という謎の言い分で時折、こういったものに参加させられる。

(多分、運転手役として呼ばれてるだけだと、はっきり確信しているが。)

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案の定、その洞窟は真っ暗で、懐中電灯など持ってきていなかった私たちは(というか、英子が忘れた)携帯のライトを使って、中へ潜入することになった。

「ゆ、雪さん…怖いです…。」

「大丈夫やで、こめちゃん。うちの手しっかり握っとき。」

「二人ともー遅いぞー。何イチャコラしてんのー。」

私たちの1mほど先を歩いていた英子が振り返り、そう言った瞬間。洞窟の奥から妙な物音が聞こた。

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__ザワ…

「なっ!!何!!??」

私の手を握るこめちゃんの力が段違いに増す。…すげえ握力だな、オイ。

「英子、何か見える?うちは音しか聞こえんねんけど。」

「んー、アタシも。何だろうねえ。」

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__ザワザワッ

___ザワザワザワッ

音がだんだん大きくなり、こちらに近付いて来ている。

その正体を一番最初に確認した英子は悲鳴をあげて私たちの横を走り抜けた。

「え!?何!?」困惑するこめちゃん。

「ちょ、英子!?」

英子が腐ってしまった肉を目の前に慟哭の悲鳴を上げた事件以来、本格的な英子の悲鳴を聞くのは久しぶりだ。一体何が居たというのか。

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私は洞窟の奥を照らし、目を凝らした。

「……っうわ!!!!」

こめちゃんの手を引き、全力疾走。

「何、どうしたんですか!!??」

「やばい。アレはヤバい。」

全身に汗が滲む。

「ゆきさ…っあ!!!」

私のスピードに追い付けなかったこめちゃんが派手に転んでしまった。

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「こめちゃん!!!」

「はよ!!はよこっち!!急いで!!」

私たちは、まだ洞窟内にいるこめちゃんに声を掛けた。

全速力&半泣きで洞窟から出て来たこめちゃんを抱き止めたうちは、英子に声を掛け、急いで車へ戻った。

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「英子、アレって…」

「うん、怪異現象の正体はアイツ等。流石にアタシでもアイツ等はどうにもできない。」

私と英子の異様なまでのムードにこめちゃんが泣きながら口を開いた。

「何が、いたの…?英子でも払えない、雪さんでもあんな怯え方するって、どんな霊が…」

助手席に乗っていた英子は重い口を開いた。

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「………シ。」

「…え?何?」

「フナムシ。」

車内に凍り付いた空気が流れた。

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「…フナムシ?え?フナムシってあのフナムシ?え?」

「あの数のフナムシはヤバい。キモい。」

「流石のうちもちょっと…アレは…ヤバい。」

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「…ねえ、ちょっと2人とも。止まってくれるかな?大事な話があるんだけど。」

バックミラー越しに見たこめちゃんの表情はまさに鬼そのもの。

「こ、こめちゃん?落ち着きぃな。ほら、あったかいコーヒーでも飲んでや…。」

「そうそう。ね?落ち着こう。ほら、深呼吸ー!」

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「…止まってくれるかな?」

「…はい。」完全に英子と返事のハモった私は車を路肩に止めた。

その後、こめちゃんとの間に何があったかは、語るに恐ろしいので伏せよう。

でも、この一件以来、2週間ほどこめちゃんが全く口を聞いてくれなかったのは、言うまでもない。

Concrete
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ゆか

ありがとう!!
みんなのおかげでここまで来れたよぅ…
感無量(ノД`)・゜・。
幽霊も怖いけど、虫っていう三次元が賜った産物の狂気は、何にも勝る…

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ロビン様

私は、ハラミ派です。ひひ…

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つっきー

え!?つっきーも出演してくれるの!?
この間、コメント数500記念もあって、どうしようか迷ってたんやけど、是非つっきーを出させておくんなましぃいいいい!!!!

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ふたば様

いつも丁寧なコメントありがとうございます(ノД`)・゜・。
オリジナルのキャラを私如きが使用しても良かったのか…
最後の最後まで悩みました…
でも、こめちゃんの了承を得て、「いったれー!!!」精神で投下した次第です!ww

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むぅ様

コメントありがとうございます!!
いつかは出演させて頂こうと、案はちゃくちゃくと練っているのです。うふふ♡
是非、むぅ様にも出演して頂きたい次第にございます♬

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