百物語【 第五十一話~第五十三話】

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百物語【 第五十一話~第五十三話】

錚々たるメンバーが怖い百物語を投稿してるわけやけども・・・うちの作品は実体験であり、相も変わらず怖くないので悪しからず。

ほな、語らせて頂きましょか。

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第五十一話『私の赤ちゃん』

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私が21歳の時の事です。

20歳の時から某団体の人と付き合ってたんよ。

ほどなくしてうちは妊娠をした。

彼氏に電話をして『なんや、うち・・・妊娠したみたいやわ。』って言ったら『電話じゃなんだからちゃんと話そう』と言われ、ワクワクしながら彼氏の家へ行ったんよ。

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『結婚しよう』って言われると思ってた。

でも現実は違うものだったんよ。

『俺は幹部の代わりに連れて行かれるかもしれない。お前と子どもを残して行くわけにはいかない。だから中絶してくれ。』と告げられて、心ん中で『お前何訳分からん事言うとんねん。普通産んでくれ言うやろ』って思っとった。

うちは『うち・・・あんたの帰りをずっと待ってるから、待ってるから産みたい。』て言ったけど、彼氏は『中絶してくれ。』の一点張りやった・・・

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産婦人科に行き、中絶同意書をもらってきて彼氏にサインをしてもらい、それを産婦人科に持って行き中絶手術の日を決めてきた。

中絶手術の前の日に入院をした。

産婦人科までは、2歳下の弟と弟の当時の彼女に送ってもらった。

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手術当日の朝に『うち・・・今から中絶手術始まるから。取り敢えず連絡だけしとこ思ってな』と彼氏に電話をして処置室へ向かったんよ。

全身麻酔だったもんやから処置中は意識はなかった。

意識が戻りかけた時、うちが横たわっている処置台の前を赤ちゃんを抱いたナースが通った。

『えっ?なんで赤ちゃんが居るん?うちが産んだん?』てボーッとした意識の中で考えてたら、赤ちゃんが元気いっぱいに『オギャーオギャー』って泣いとった。

『うちの赤ちゃんを連れて行かんでよぉぉ~』って泣きながら言ったところで、また意識が遠のいた。

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再び意識が戻って、ナースに『この処置室の中を赤ちゃんを抱いて通った他のナース居った?』って聞いたら『紫音さん、何言うてんの。ナースは今は私だけやで。』って・・・

そう・・・この産婦人科は個人経営の産婦人科でナースもおばちゃんナースだけやったわ。

うちが見たナースは・・・若くて細身のナースで一昔前のナース服を着ていた。

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あれは夢だったのか、霊的なものだったのか・・・うちもようわからん。

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第五十二話『成人式』

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今の職場は出戻りである。

最初に勤めていた時の事やったかな。

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当時はお父ちゃんも健在で、うちは日曜日も出勤。

日曜日は100円ショップのレジをやる人が居らんかったもんやから、食品レジの人間が日曜日に100円ショップのレジ打ちをしとったんよ。

成人式のその日は、うちが100円ショップのレジに入っててん。

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お昼ご飯食べて午後も100円ショップのレジ打ちに入り、暇やったからちょいとボーッとしとった時に、高そうなスーツを着たお母ちゃんと、これまた高そうな煌びやかな振袖を着た成人式の式典に出席したお姉ちゃんが100円ショップの出入り口から入ってきたのよ。

『うちもなぁ~、約10年前はこんな感じだったんやなぁ~』って思いながら見とった。

その少し離れた後ろのほうに、髪がボサボサの若いお姉ちゃんが、その母娘を恨めしそうにジーッと見とって、なんだか違和感を感じててん。

うちはその髪がボサボサのお姉ちゃんに違和感を感じながら、左肩と首筋を無意識に触ってたんやわ。

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実はうち・・・霊的なものと遭遇する時に左肩と首筋を触る癖があんねん。

自分で左肩と首筋を触っている事に気付き、その髪がボサボサのお姉ちゃんを凝視していたら・・・

フワッと浮いたと思ったら、振袖を着たお姉ちゃんに向かって飛んで行ったんよ。

びっくりして『ひいぃぃぃ』ってなったけど、ヤバいなと思って口を押さえて堪えてたわ。

髪がボサボサのお姉ちゃんは振袖を着たお姉ちゃんの体を何度となく行ったり来たりを繰り返し、その後外へ出て行ったんやけど・・・

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振袖を着たお姉ちゃんのその後が気になったんやけど、何処の誰だか知らんかったし、その後を知る事は出来んかった。

あの髪がボサボサのお姉ちゃんの霊は、成人式に出席出来ずに亡くなり、煌びやかな振袖を着たお姉ちゃんが羨ましかったんやろな。

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第五十三話『なんでお前なんだよ』

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あれは、うちが2度目の結婚をしてる時やった。

うちの連れ子である長男が、旦那の実家で同居しとる時に旦那を含む旦那の家族からの対応が原因で適応障害と鬱病を患い、医師から『生活環境を変える事。そうやな、引っ越ししてみたらどうや?』と言われ、帰宅し旦那に『あんたのお母ちゃんが元凶なんやって。一緒に生活はせんほうがええて言われたから、引っ越しするで。この先〇〇(長男)の病気を共に闘う覚悟があるなら一緒に引っ越しする。覚悟がないんねやったら離婚や。どっちや?』って聞いたら『一緒に闘う』て言うたんで、うちの実家に行き、うちの家族と話し合いをする事になった・・・

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話し合いも済んで、引っ越しの準備も着々と進んだ。

引っ越しを済ませ、旦那の家族からの酷い対応から解放され、長男の症状も落ち着いてきた感じやった。

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引っ越しをしてから数週間経った頃の夜やった。

旦那の隣で寝とったら、耳元で『なんでお前なんだよ』って、怨みのこもったうちと同年代くらいのおばちゃんに言われ『えっ?えっ?なんなん?てゆうか、誰やねん。チビは無事よな?』って思って隣を見たら、赤ちゃん特有のたまらん顔でスヤスヤ寝とったから安心したのも束の間・・・

めっちゃ布団被ってんのにアホかって位に背中だけが寒くって、嫌やなぁ~って思ったんやけど後ろ見ちゃったのよ~。

居たよね・・・めっちゃ怨めしそうにうちを見つめるおばちゃん。

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『うち、お前の事知らんし、憑くんやったら隣に居る猿みたいなゴリラみたいなおっさんに憑けっちゅうねん』て心ん中で怒鳴ったら、なんか・・・泣きながら出てってしもたわ。

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旦那と離婚してバツ2になった今は、そのおばちゃんは我が家に現れる事は無くなった。

おばちゃん何処に行ったかって?

今となっては元旦那やね。猿みたいなゴリラみたいなおっさんの所か別の所に行ったんちゃうんかな?

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りこ様・珍味様・norty様・ラグト様・ふたば様・虎嶋真矢様・怪談師様・sun様・むぅ様

連名で誠に申し訳ないとは思いますが、このような駄作に怖ポチを頂き、誠にありがとうございます。

(*´³`*) ㄘゅ💕

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sun様

肩や首が重くなって癖にはならないよ。

ただ・・・沙羅ねえともシンクロしちゃってるけど、そういったものと遭遇すると、無意識に左肩と首筋を触る癖があるって感じですな。

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