百物語【第八十話〜八十二話】

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百物語【第八十話〜八十二話】

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ロビたんのお店のお客様のお話、すごく怖かったです。赤ちゃん、気付いて欲しかったんですかね。。。

ところで、百話まであと残り僅かとなりましたね。

ちょっとドキドキして来ました。

皆さんのお話聞いてたら、またいくつか思い出した体験があるので、聞いてくださいますか?

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【八十話目】

これは友人との体験談なのですが。。。

彼女、やっちゃんは、高校の時からの親友です。

やっちゃんは結構視える人らしくて、よくその手の話をしてくれました。

やっちゃんといつも行動していたせいか、高校の頃はアタシも時々妙な物が視えたり聞こえたりと、多感な時代を過ごしました。

あれは、夏のある日の放課後でした。

いつものように、教室に残って仲の良いグループの子達と一緒に目一杯ムダ話をして、さあ帰ろうか、となりました。

教室を出て左に折れると、すぐに階段です。

プレハブのような粗雑な校舎の2階の端にあるアタシ達の教室から、階段に差し掛かった時でした。

やっちゃんとアタシを含む5人は、階段を目の前にして立ちすくみました。

辺りは夕暮れのオレンジ色の光で満ちています。

アタシ達は階段の一番上から踊り場を見下ろしたまま、全員が絶句していました。

アタシにはこの時実際には視えていませんでしたが、あるイメージが頭に鮮明に浮かんでいました。

薄茶色のトレンチコートを着て、アタッシュケースを左手に持ち、アタシ達に背中を向けて佇む男の人の姿です。

アタシは頭に浮かんだだけなので何も言いませんでしたが、隣に立つやっちゃんが、小声で話しかけてきました。

「ね、視えてる?」

アタシはその意味がすぐにわかりました。

「いや、視えてるわけじゃないけど、イメージが頭に浮かんでる」

そう答えると、

「茶色のコート着て鞄持った男の人?」

と訊かれました。

アタシはアタシのイメージと同じ物がやっちゃんには視えてるのだという事実で、気のせいではないのだという事を理解しました。

その会話が聞こえたのでしょう。

残りの3人も次々に、同じ物が視えている、もしくはイメージが浮かんだと訴えてきました。

仮に実際にそこにその人がいて、生きてる人間だとしても、高校の、放課後の校舎。職員室などがある校舎ではない校舎です。

先生にそんな格好をしている人はいませんし、ましてこの時は夏です。

トレンチコートなんて、着るわけがありません。

5人全員が同じ物が視えたりイメージが浮かんだりしているという事は、生きてる人ではない人が、そこにいるのだという事なのでしょう。

少なくともアタシ達はそう考えました。

やっちゃんは小声で、

「今はまだ気付かれてないから、大きな声を出さないで。静かにそーっとあっちの階段に行こう」

そう言って、ゆっくりと後退りを始めました。

アタシ達も彼女に倣い、ゆっくりゆっくり、音を立てないように静かに階段から離れました。

そして、階段が全く見えない位置に来てから、無言のまま一目散に反対側の階段へと走って逃げました。

後にも先にも彼が視えたのはそれっきりですが、彼、あそこで何をしてたんでしょうね。

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【八十一話目】

次のお話は、アタシの6つ下の妹のお話です。

妹は幼い頃から疳の虫が強く、よくわけのわからない事を言ったりしたりしていました。

アタシの家がまだ商売をしていて、中華料理店を切り盛りしていた頃です。

この中華料理店が入っているビルも、昔 沼地を埋め立てて出来た土地らしいのですが、その埋め立てた土がお墓の土だったらしくて、色々と怖い現象が目白押しでした。

妹がまだ幼稚園児くらいだった頃、予約で入ったいくつもの団体様でバタバタしていた時に、

「そこにくろいネコがいるからね。はしったらついてくるから、ゆっくりあるいていってね」

とみんなに言ってみたり、一番奥の座敷を見て泣きわめいたと思ったら、

「こわいおばあちゃんがにらんでる!」

と叫んだり。

また、小さなうちからとても病弱な子で、しょっちゅう原因不明の高熱を出して寝こんだり腎臓を悪くして長期の入院をしたりしていたのですが、この頃に、よく、わけもなく不機嫌になって、ガラスのコップを噛み割ったりしていました。

その、妹が荒れていく少し前の、まだ4歳くらいの頃だったと思います。

うちの家には養父方の仏壇があったのですが、ある時期その仏壇に、毎日狂ったようにお線香をあげていたそうなのです。

うちでは昼間大人がいる時間は、蝋燭の火をつけたまま、絶やさないようにしていました。

なので、幼い妹でも、蝋燭でお線香に火を灯し、線香立てに挿すくらいはできたのです。

普段お経をあげる時には3本しか立てないお線香を、何本も何本も、ひたすら挿し続けていたそうです。

母や養父が止めても、手を振りほどいてまでお線香をあげるのをやめないのです。

不安になった母が妹に、なんでそんなにお線香をあげるのか、と訊いたところ、

「おじいちゃんとおばあちゃんがおせんこうちょうだい、おみずをちょうだい、あらってちょうだい、っていってる」

と言って、また狂ったようにお線香を挿し続けたそうです。

母はハッとしたそうです。

お店が忙しくて、月に一度は行っていた養父方の墓参りを、3ヶ月ほど先延ばしにしていたらしいのです。

慌ててアタシと妹を連れ家族4人で山奥のお墓をお参りに行ったら、それっきり、パッタリとおさまったそうです。

その後「おじいちゃんとおばあちゃん」の事を訊いても、覚えていないらしくきょとんとした顔で首を傾げるばかりだったそうです。

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【八十二話目】

先程お話した、うちにあった仏壇のお話なのですが。。。

アタシはある時期から、この仏壇が怖くて怖くてたまらなくなり、仏壇を直視できなくなった事があります。

アタシが中学生の時に養父と母が別居したのをきっかけに、仏壇は家からなくなりましたが、今思えば、養父と母の仲がおかしくなった頃くらいからだったような気がします。

仏壇の何がどうして怖いのか、と訊かれてもなんとなく、としか答えられないのですが、ずっと後から聞いた話では、養父以外の家族はもちろん、仲良くしていた伯父も、とても気持ちが悪かったと言っていました。

この伯父は、とても強い霊力を持った人で、本職はマッサージや整体もできる鍼灸師でした。

うちのお店は予約の状況により前後しますが、夕方4時から6時の間から、夜中の11時くらいまでの営業で、両親共にそこを切り盛りしているので、その間妹は店の休憩室で待ち、アタシは家で一人で留守番をする毎日でした。

寝室と仏壇の置いてある部屋は、2部屋の間の襖を取っ払ってひと続きにした状態で長方形になっていて、ちょうど部屋の一番距離のある端と端に、それぞれ仏壇と2段ベッドが置かれていました。

アタシは2段ベッドの上でいつも寝るのですが、その頃から今も体の左を下にして横向きになって眠る癖があります。

ところが、このベッドで左を下にして横になると、仏壇と向かい合わせに眠る事になるのです。

小さな頃から寝付きが悪くなかなか眠れないアタシは、左を向いて横になると仏壇が怖くて気になって気になって、どうしても目を開けてしまうのです。

起きている時は、あれほど怖くて直視できないのに、ベッドに横になると見ずにはいられないのです。

そして仏壇を見ていると、仏壇の天井から吊り下げられた2つの灯籠の明かりだけが、ゆらゆらと不自然に揺れるのです。

その事に気付いた時、アタシは灯籠が実際に揺れているのかとも思いましたが、窓も開いておらず風もなく、勝手に揺れるような原因がわからないのです。

しかも、その揺れている明かりは、吊り下げられた物が揺れるような動きではなく、真横に真っ直ぐ揺れていて、なんだか浮き出て見えるのです。

わかりにくいですか?

灯籠を吊り下げている棒のような物と、揺れている明かりが離れて見えるというか、明かりだけが不自然に手前に見えるんです。

それが、全く同じようにシンクロしてゆらゆらしているので、目の錯覚なのか、実際に揺れているのか知りたくて、上半身だけを起こしてベッドから身を乗り出して眺めてみたり、視力が落ちているのかと、目を細めて見たりと色々試しましたが、何をしても揺れて見えます。

あまりに毎日続くし目の錯覚なのか事実なのかもわからないしでモヤモヤしたアタシは、ある日怖いのを我慢して目の前で確かめて見る事にしました。

ベッドから恐る恐る降り、仏壇の前に立って見ると。。。。

揺れてませんでした。

なあんだ、やっぱり目の錯覚か、と安心してベッドに上がり、またなんとなく仏壇の方を見てしまいました。

。。。。やっぱり揺れてる。。。

結局何なのかわからないし、深く考えると怖いので、目の錯覚だという事にしてその日は無理矢理に寝ました。

次の日、また揺れているのが見えてしまうと嫌なので、勝手悪いのを我慢して反対側を向いて寝てみました。

そうすると、今度はもう怖くて寝返りが打てないんです。

なんでご先祖様をお祀りしている仏壇がこんなに怖いのか、全くわかりません。

そのうち昼間の疲れからいつの間にか寝てしまったらしいのですが、突然、アタシの後ろから、左の耳元で

shake

「キュウッ!!」

という、歩き始めの幼児が履く音のなる靴を踏んだ時のような音がしたのです。

ものすごくびっくりしていきなり目が覚めたのですが、めちゃくちゃ怖くて。

音源が何なのか確かめたいけど、一人で留守番している状況で、振り向いて何かがいたりしたら、正気でいられる自信が全くなくて、しばらくはまんじりともせず恐怖に震えていました。

でも、もしまた今あの音がしたら?

そう思うと、それもまた怖くて、仕方がないので勇気を振り絞って思いっきり振り返りました。

。。。そこには、何も誰もいなかったんですけどね。

だいぶ大きくなってから、伯父を含む家族で養父の最低っぷりを話していた時、伯父がふと思い出したように仏壇の話をし始めました。

伯父もずっとあの仏壇が気持ち悪くて仕方なかったそうなのですが、アタシと同じように灯籠が揺れて見えていたそうです。

気味が悪くはあったのですが、伯父は確かめる為に、2つの灯籠のちょうど真ん中に、手を手刀のようにして差し入れたそうです。

その途端、灯籠が、

shake

カタカタカタカタカタカタ!

と、すごい勢いで揺れたのだそうです。

やはり気持ち悪さは気のせいではなかったと確信した伯父は、仕事で使う新品の中国針を3本、和紙に包んで針先を仏壇の中に向ける形で供えたそうです。

伯父がなぜそうしたのか、その理由は聞いてないのでわかりませんが、針を入れると、灯籠が揺れる事はなくなったそうです。

ご先祖様を祀る仏壇が、どうしてあんなに禍々しい感じがしたのか、今も謎のままです。

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気付けばもう八十話を過ぎて、いよいよラストスパートですね。

何も起こらない事を祈って、次の方お願いします。

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バンビさんこんばんわー(*´ω`*)お返事遅くなりました┏○ペコッ
コメント怖ポチいつもありがとう!
なんでしょうねー
やっぱり、灯りや炎には、魂が乗りやすいんでしょうかね。
でも、バンビさんのおばあちゃんちのお盆の灯籠と違って、うちの仏壇にぶら下がってた灯籠は、すごく禍々しい感じしかしなかったんですよ( ;∀;)
バンビさんのおばあちゃんちの灯籠は、きっとご先祖様がバンビさんの帰省を喜んでいる為にふわふわしているんだと思います(*´∀`*)

おでん屋さんこんばんわ(*´∀`*)
お返事遅くなりました┏○ペコッ
コメント怖ポチありがとうございます♡
そうそう、一人の時や夜に見る仏壇って怖い。。。って、えええええっΣ(゚д゚lll)コメ欄で投稿して良いレベルの怖話を!!!ありがとうございますご馳走様です!!
控えめで優しいご先祖様って印象を受けました(*´∀`*)
日頃はおでん屋さんがきちんとお祀りしている事が伺えますね。
もし常にほったらかしだったなら、そんなアピールもしてこないでしょうから(*´∀`*)

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こんばんは!
まりかさんの百物語もどんどん怖さを増してきています(゚o゚
特に1作目の5人全員が感じ取るとは、その霊体から出てる力が半端でないことを物語っていますね(; ̄O ̄)
5人とも無事で良かったです(^^)

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ふう、怖すぐる!やあロビンミッシェルだ。

そういえば僕も子どもの頃に怖い場所がありました。ずばり!それは両親の寝室です。

精力的な父親が酒呑んで帰った日は必ず、両親の寝室から母親のすすり◯ぐ声が聞こえておりました…ひ…

Σ( ̄ロ ̄lll)
まりかさんのお返事見てつけ忘れてたの気づいたので
ポチをこっそり💦

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ふたばさんコメント怖ポチありがとうございます♡
仏壇がまだうちにあった頃は、自宅はお店のあるビルとは違う場所でしたので、お店のビルに巣食うモノ達の仕業ではないのですが、沙羅ねぇのコメントに、蝋燭灯したままでいると集まるらしいとあるので、それでかもしれませんね( ;∀;)
百物語、ラストまで無事完結出来る事を祈ります。

珍味さんコメントありがとうございます♡
二話目三話目はイマイチでしたか(*´ω`*)
補足をすると、三話目の中の、子供の履くキュッキュ靴の音、後からもしかして。。。と思う事があるんですが。。。
この音を聞いたその少し後に、養父方のお墓参りに行ったんです。
養父方のお墓はかなり立派で、すべてが御影石で作られていて、畳3畳分くらいの広さの敷地に、大きく立派な墓石が真ん中にどんと構え、それを取り囲むように囲いと門構え、そして墓石に向かって右手前に墓標?があって、お墓に眠るご先祖様の名前が享年と共にずらりと書かれていました。
その、見慣れた墓標?をぼんやりと眺めていたんです。
何気なく順番に見ていたら、割と新しくお墓に入った人の名前の中に、「享年二歳」と書かれているのを発見したんです。
養父方の血筋は業の深い方が多く、色々とトラブルが多かった事が、あの仏壇の禍々しさに繋がっているのではないか、そしてあのキュッキュ靴の音は、アタシが仏壇の禍々しさに気付いている事を察知して、その子が何かを訴えようとしたのではないか、と、その時思ったのを覚えています。
伯父は本当にすごい人でした。両親が別居して養父が仏壇を別宅に運び出したのも、伯父が針を入れたすぐ後だったので、何か関係してるのかもしれませんね。

虎鳴真矢さんコメントありがとうございます♡
何だったんでしょうね。なんで怖かったのか。。。
珍味さんへのお返事でも書きましたが、養父方の血筋が関係しているのではないか、となんとなく今は思っています。
怒ってる、と幼い頃の妹も何度か言ってましたし。
何にしても、大人になって初めて、あの灯籠が揺れていたのは目の錯覚ではなかったと知って追加で恐怖したのは心の修羅場でした。

沙羅ねぇコメント怖ポチありまちゅ♡
怖かったんだよ〜( ;∀;)泣きそうだったもん。心臓口から飛び出るかと思ったし、体が心臓になったかと思うほどバクバクしたよ。
沙羅ねぇも左を下にするんだね(*´艸`*)
仰向けじゃ寝れない〜落ち着かなくてw

蝋燭つけっぱは、たぶん宗教絡みだと思う。
養父は今行方知れずなので何してるかわからないけど、養父も母も(母は未だに)、とにかく宗教大好きな人達だったから。
呼ぶのか〜蝋燭つけっぱだと。
うん。そうかもしれない。その頃に両親が入っていた宗教を脱退してから、仏壇も無くなったし蝋燭つけっぱにする事も無くなったら、怪現象は驚くほど減ったもん。

怖いと言ってくれて、ありまちゅ♡超嬉しい♡

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