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とうとうあと七話ですね!
普段は標準語で語らせて貰っていますが、最後のお話という事で、ちょっとだけしおたんの真似をして、セリフの部分を地元宮崎弁に変えてお話したいと思います。
ところどころお聞き苦しい部分があるかと思いますが、お付き合いよろしくお願いします。
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【九十三話目】
アタシの最後のお話は、20代前半の頃の体験です。
この頃は住居も親の店のあるビルに移っており、4階の自宅と3階の店舗を行ったり来たりする毎日でした。
その日も、仕事でクタクタに疲れ、泥のように眠っていました。
。。。。眠っていた、はずでした。
普段一度眠ったら朝まで絶対に起きる事はないのに、その日は珍しく、夜中にふと目が覚めたんです。
夜中なので、部屋は真っ暗だし、家族はみんな寝静まっています。
なんで目が覚めたっちゃろう
と、寝ぼけた頭でぼんやり考えていると、足元からゾワッという感覚が来て、次の瞬間キーンという大きな耳鳴りがしました。
耳鳴りの経験がある人ならわかると思いますが、耳鳴りが始まる直前に、耳の中が真空状態にでもなったような、無音の状態になりますよね?
時間にしたら1秒もないと思うんですが、その数瞬に、あ、耳鳴りが来る、と思ったんです。
キーンという音だけが耳の奥で聞こえ、考える間もなく息ができなくなりました。
うまく呼吸ができないというか、空気の薄いところにいるような、そんな感覚ですね。
そして「うう。。」と思った瞬間、全身にとてつもない重力がかかったようになって、動けなくなったんです。
ジェットコースターに乗ってものすごいスピードで走ってる時の、Gがかかってるような感じ、と言ったらわかるでしょうか。
まるで布団に全身を押し付けられているような、沈んでいくような感覚の中、アタシは身動きできない恐怖でいっぱいでした。
なんか来たらどんげしよう
なんか見えたらどんげしよう
と、怖くて力いっぱい目を閉じました。
すると、足首に氷のように冷たい何かが触れたんです。
指先一つ動かせない状況で、足は布団の中。
そんな冷たい物が自然に当たるような事、ないはずですよね?
突然の事に対する驚きと、説明のつかない出来事への恐怖で、アタシはパニックを起こしました。
母や妹に助けを求めたくても、うめき声も出せません。
その場からなんとか逃げ出したくて、体のあちこちに力を込めたりしてみましたが、何の効果もありません。
その間に、冷たい何かはだんだん、滑るようにアタシの体を這い上がって来たんです。
いよいよ胸の辺りに来た時、
どんげしようどんげしよう
と泣きそうになっていたら、いきなり瞼が開きました。
自分の意志じゃないですよ?
えっ、と驚いたアタシの目の前には、男の人の顔がありました。
恐怖で体が硬直し、喉の奥をきゅっと締め付けられたように苦しくなって、それなのに、気を失う事もなくて、アタシはその男の人の顔を直視したまま涙目になっていました。
どのくらい見つめ合っていたでしょうか。
男の人の目が、頬の筋肉に押し上げられてみかづき形に変形し、左右の口角がにぃーっと歪んでいくのです。
でも、顔は笑っているのに、目の中は全然笑っていないんです。
とても悪意に満ちた笑顔でした。
もう、心臓は破裂するんじゃないかと思うくらいバクバク言っています。
あまりに怖くて何も考えらずにいると、男の人の口が動き始めました。
ボソボソ何か言っているようでした。
何を言っているのかなんて聞きたくもなくて、でも耳を塞ぐこともできず大声をあげて男の人の声をかき消す事もできなくて、
嫌や!嫌や!てげ怖い!!
と思っていると、だんだん男の人の声がはっきりしてきました。
「お前も来い。お前も来い」
と、男の人はずっと繰り返していました。
お前も来いってなん?
アタシ連れて行かれると?
と、もう恐怖の限界で、いつ気絶してもおかしくない精神状態でした。
その時、二段ベッドの下で寝ているはずの妹が、アタシの寝ているベッドの板、妹から見たら天井板を、バンッ!!と叩いてきました。
その瞬間、男の人の姿はスッと消え、体にのしかかっていた重力も無くなって、あれだけ苦しかった呼吸も楽になりました。
ぶはっ、という感じで呼吸ができるようになり、息を整えながら未だおさまらない恐怖の余韻に震えていると、妹が下から、
「お姉ちゃん大丈夫や?」
と聞いてきました。
質問の意味が理解できずにいると、起き上がった妹がベッドの下からひょこっと顔を出し、
「変な奴来ちょったねぇ。一緒ん寝る?」
と言ってきました。
普段は周りから「寄ると触ると喧嘩する」と言われ、あまり仲が良くなかった妹でしたが、この時は、妹が気付いてくれた事、そして助ける為にベッドを叩いてくれた事に、心の底から感謝しました。
それから子供用の狭い二段ベッドの、妹の布団で、二人並んで朝まで眠りました。
起きた時、その光景に母親がとても驚いていましたけどね。
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最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
残り六話です。気を引き締めていかないとですね。
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作者まりか
作中最後の画像をお借りしています。レイさんお世話になります。
また、何度も確認して投稿したはずなのですが脱字を発見した為、訂正して再投稿しました。
読んでくださったのに通知の行ってしまった方、紛らわしくてすみません( ;∀;)
【真夏の怪談フェス「百物語」 】
※敬称略※
ロビンⓂ︎ 一話〜五話
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沙羅 六話〜十話
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まりか 十一話〜十三話
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よもつひらさか 十四話〜十六話
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ラグト 十七話~十八話
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珍味 十九話〜二一話
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おでん屋 二二話〜二四話
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ゼロ 二五話〜二九話
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山さん 三十話〜三一話
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綿貫一 三二話〜三四話
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バンビ 三五話
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ともすけ 三六話〜三七話
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ロビンⓂ︎ 三九話
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よもつひらさか 四三話〜四五話
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プラタナス 六三話〜六五話
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まりか 六六話〜六八話
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ふたば 六九話
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沙羅 七十話〜七二話
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修行者 七三話〜七五話
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sun 七六話〜七七話
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ロビンⓂ︎ 七八話〜七九話
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まりか 八十話〜八二話
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山サン 八三話〜八四話
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紫音 八五~八六話
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綿貫一 八七~八八話
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ゴルゴム13 八九話~九一話
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こげ 九二話
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