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百物語【第九十六話】

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ともすけさんのお話・・・いや~怖かったですね~。

そろそろ百物語も終わりに近付いてきましたね。

今頃、主催者であるロビンⓂ️も作品を書きあげている事でしょうね(ΦωΦ)フフフ…

栃木弁丸出しでもう一話書けと、命令が下りましたので、頑張っぺ。

では・・・語っちゃうかんね。

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第九十六話『ばあば』

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3年前の7月に実家の婆ちゃんが亡くなったんだ。

婆ちゃんっつっても血の繋がりはねえんだわ。

約30年前に亡くなった爺ちゃんの後妻さんで、継母ならぬ継婆なんだわ。

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私が3歳位の頃だったと思うんだけどよ、縁側で立って外を見てる時に、婆ちゃんに後ろから押されて、縁側から落っこちたんだわ。

実家の縁側は、普通の家と違って高さ1メートル位の高さがあったんだ。

その高さから落っこちれば普通は大怪我すっぺよ。

でも、その時はたいした怪我もしねえで、キョトンとしてたんだわ。

振り向いたら婆ちゃんが不敵な笑みでこっち見ててよ、すっげー怖かったのだけは覚えてんだわ。

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そんな婆ちゃんでも、お母ちゃんとお父ちゃんが仕事で家に居ねえ時は、うちら兄弟の世話をしてくれてたし、たまに小遣いくれたりしてたから、心底嫌いにはなれなかったんだ。

婆ちゃんが作る味噌を塗って焼いたおにぎりや、蒸して砂糖醤油をつけて食べるジャガイモや、アンコが入ってないくっそ固い饅頭もどきとか、結構好きで食べてた。

貧乏だったから、そんなんがオヤツだったけど、兄弟4人でニコニコしながら食べてたんだ~。

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そんな婆ちゃんが段々と弱ってきてよ、更にボケ始めてよ、わげわがんねえ事言ったり、変な行動したりしてたんだわ。

『紫音よ~、〇〇(私の元旦那)は最近来ねえけど、どうしたんだ?仕事忙しいんけ?たまには来るように言っとけや。』って言われた時は、そりゃビックリしたっぺよ。

だってよ、離婚して2年は経ってたんだからよ。

んだもんで婆ちゃんに『婆ちゃん、何言ってんだ~。もう2年前に離婚してっぺよ。忘れちったんけ?』って言ったらよ、婆ちゃんが『そうげ?離婚してたんけ~。』って寂しそうな顔してたっけ・・・

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ボケが酷くなったっけ、どんどん体のほうも弱ってきちってよ。

風呂さ入ってもまともに体も洗えなくなって、家族で話し合ってデイサービス利用すっぺって話になってよ。

毎週月曜日と木曜日にデイサービス利用してたんだわ。

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デイサービスの施設に居る時間は、職員さんと会話したり結構普通にしてんだけどよ、家さ帰ってくっとあんまり喋んながったりだったんだ。

日に日に弱ってボケも酷くなってきて、トイレさ行く前に漏らしちまったり、ある時をさかいに杖ついても歩けなぐなっちまってよ。

ベッドを介護用のベッドにしたら、全く自分で動く気力なくしちってな。

ほんでもデイサービスは行ってたんだわ。

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5月に介護用ベッド使い始めて2ヶ月くらい経った頃だったと思うんだ。

婆ちゃん、風邪ひいて熱出しちまって、デイサービス休んで、かかりつけのお医者さんに家まで来てもらって点滴を毎日してもらってたんだ。

私は、婆ちゃんやお母ちゃんたちと一緒に住んでたわけじゃなくってよ、自宅に居て仕事に行く準備してっ時に兄貴から電話かかってきたんだわ。

『婆ちゃんが、母ちゃんに飯食わしてもらってっ時に息止まっちったんだ。〇〇(次男)は保育園だから大丈夫だっぺけどよ〇〇(長男)は家に居んだべ?連れてこっちすぐに来い』って言われたもんだからよ、急いで職場に電話して理由話して休みにしてもらって長男連れて実家行ったんだ。

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実家に着いて婆ちゃんが寝てる部屋に行って婆ちゃんに触れたらまだ温かかったんだわ。

お母ちゃんに『まだ温かんべや』って言ったっけ『でも息止まってんべ』って言われて、ショボンとしながら別の部屋に移動したんだ・・・

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しばらくしたっけ、お医者さんが来てよ死亡確認して、その後はすっげーバタバタしてたね。

お母ちゃんが全て仕切ってくれたからよかったんだげどよ。

次男を保育園に迎えに行って『ばあば死んじったんだわ。だから今日はじいちゃん家泊まっかんな。』って言ったらよ、次男がべそかき始めてさ・・・

ばあばの事、よっぽど好きだったんだわな。

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お通夜が終わり、葬儀の日・・・

火葬場さ行って、婆ちゃんが骨になったの見た時は『婆ちゃん、骨少なっ』って位にかっすかすだったんだわ。

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葬儀も滞りなく終わって、普段の生活が戻ってきた頃だったんだけどな・・・

実家に住んでる兄貴が『なんかよ~、俺が寝てっ時によ、婆ちゃんが台所とか茶箪笥の中をやさがししてんだけどよ。どうすっぺ。』って言うもんだからよ『婆ちゃんさ、甘いもん好きだったべ?饅頭とたっぷりの砂糖が入った麦茶でも祭壇にあげてみ。そしたら婆ちゃんもやさがししねえでおとなしくなっぺからよ』って教えてやったんだ。

したっけ、婆ちゃんやさがししねえでおとなしくなったんだわ。

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したっけ、何日か経った頃かな?

自宅で寝てる時によ、肩をトントンて叩かれたたんだわ。

なんのためらいもなく『婆ちゃん、なんだよ~』って言ったらよ、婆ちゃんが『紫音よ~、饅頭と甘い麦茶ありがとな。んまがったわ。ほんと、ありがとな。』って言って、スーッと消えたんだわ。

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そこで『ん?あれ?婆ちゃん・・・いやいや、死んだっぺや。えっ、婆ちゃん?えぇ――――っ!!』ってなって、兄貴寝てっぺと思ったけどよ、兄貴に『今よ、婆ちゃんが来たんだわ。兄貴んとこにも来たけ?』ってLINE送ったらよ『ああ・・・婆ちゃん来てありがとなって言ってたんだわ。やっぱり紫音のとこにも行ったんけ。』って返事が来てよ。

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それから婆ちゃんの月命日には、饅頭と砂糖がたっぷり入った麦茶を仏壇に供えるようになったんだ。

今頃、天国で饅頭食いながら甘い麦茶でも飲んでっぺ。

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はい、今回は前置きがクソ程長いし全く怖ぐねえ話で申し訳ねえ。

ふと、婆ちゃんの事思い出しちまったもんでよ、書かせてもらったんだ。

次の語り部さんは、すんげー怖い話をしてくれると思うがらよ、期待して待ってていいがんね。

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はと様

怖ポチありがとうございます

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ラグト様

怖ポチありがとうございます。

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あっ・・・おでん屋様ぁぁ~

お礼を忘れておりましたぁぁ~_|\○_

怖ポチ&コメントありがとうございます。

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むぅ様

怖ポチ&コメントありがとうございます。

ええ話・・・

読み手にはそう捉える事が出来るかもやけど、書いてる本人は書いててちょっとムカついてたっていうね(´-ω-`;)ゞポリポリ

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おでん屋様

婆ちゃんはですね・・・父親が中学1年生の時に来たんで、結構長く我が家にいたので、馴染めてないってのは無かったと思うんやけども・・・

まあ、女の子が嫌いだったんでしょうね。

寝たきりになってた時に、ご飯を食べさせてあげたりオムツの交換をしてあげたりしても、全く『ありがとう』って言葉を言った事無いですしね。

兄貴が何かしてあげた時は『ありがとう』って言ってたのにね・・・

死んでから『ありがとう』って言われても・・・生きてる時に一度でもいいから言って欲しかったってのが、本心かな。

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ネストン様

コメントありがとうございます。

今年のお盆さんはジジイ基父親の初盆やったもんで、婆ちゃんの存在忘れてました(´-ω-`;)ゞポリポリ

最後のほうだけでも怖くなるかなって思ったけど・・・

ダメだったぁぁ~(╥ω╥`){誰か文才わけろ下さいʬʬʬ

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えぇ話や。゚( ゚இωஇ゚)゚。

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sun様

怖ポチ&コメントありがとうございます。

両親が共働きやと、どうしても爺ちゃん婆ちゃんに育てられるって感じになるよね。

うち、爺ちゃんにはめっちゃ可愛がられてたけど、婆ちゃんは兄貴や2人の弟たちばかりで、うちが高熱を出して頭が痛くて大泣きしてるのにほったらかしにされてた事が多かったかな。

今思うと、結構酷い仕打ちされてたんやないかなとか・・・ちょっと(´・ω・`)ショボ-ンな感じですな。

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ばぁちゃんの話し感動してしまいました(T_T)
私じいちゃんばぁちゃんに育てられたのでこういう話に弱いです( ´∩︎⌑︎・̥̥̥̥̥`)

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チョコ様

怖ポチありがとうございます。

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よもつひらさか様

怖ポチ&コメントありがとうございます。

U字工事・・・やっぱり思います?((*´艸`))ププッ

山口智子とか平山あやも栃木県出身なんですよ。

よもつさんに楽しんで頂けたのなら、嬉しいかぎりです(*´ω`*)

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沙羅ねえ

怖ポチ&コメントありまちゅ(*´・ω・)(・ε・` )チュー♥

投稿し直しとかしてへんから、バグったんかな?•́ω•̀)?

体臭と加齢臭・・・うん、そんな感じよね(*´ω`*)

なんていうんやろか・・・爺ちゃんの臭いとはまたちゃうねんなぁ~。

うちのばあば・・・最後の頃は死臭も混じってたかも( ´゚д゚`)アチャー

怖い話書こうと思てたんやけどな・・・ふとばあばが浮かんじゃって、こんな感じになってしまいましたわ^^;

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吉井様

コメントありがとうございます。

(;´゚д゚`)エエー・・・そんな強度の測り方嫌ですわぁぁ~(╥ω╥`)

てゆうか、強度測らないでぇぇ~(。˘•ε•˘。)

お祖母様、去年亡くなられたんですね(╥ω╥`)

お祖母様は、吉井様の前に出て来なくても、ずっと見守ってくれていますよ(*´ω`*)

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真っ先に読んだのに、コメもポチも無くなっとる(´;ω;`)
なので、再度トライ!

婆ちゃんの香りって、じんわりする温もり感じるよね~~。
体臭と加齢臭と混じって、独特だけど。

いい話だったよ(;_;)

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